昨年5月、出演中の連続ドラマ『リコカツ』(TBS)を途中降板し、その後、多発性骨髄腫で闘病中と公表した俳優・佐野史郎さん(67)。元気に活躍しているように見えただけに、驚いたファンは多かっただろう。以前から体調不良だったのか。今はどういう状態なのか。佐野さんに詳しい話を聞いた。(聞き手・構成/ジャーナリスト・中野裕子)
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佐野さんが多発性骨髄腫と公表したのは昨年12月。その7か月前、女優・北川景子主演の『リコカツ』を途中降板したが、5月4日の発表時には腎臓機能障害のため、としていた。
「そのとき、もう多発性骨髄腫と判明していて、いずれ公表するつもりでした。ただ、ドラマのオンエアが始まったばかりでしたので、僕の病気のことでこれ以上迷惑をかけるのは良くないと、所属事務所とテレビ局で相談し、そう発表することにしたんです。ですが、腎臓機能障害から判明したことは事実です」
多発性骨髄腫という病気は、血液のがんの一種。通常、人の体内にウイルスや細菌が入ると、白血球の一種であるBリンパ球が形質細胞に変化し抗体を作る。多発性骨髄腫はその形質細胞ががん化し、正常な抗体が作れなくなる病気だ。免疫力が落ちるほか骨がもろくなり、腎機能が落ちるなどの症状が現れる。
「発症直前の4月16~18日に『くまもと復興映画祭』に、僕の映画デビュー作で主演作の『夢みるように眠りたい』が上映されるというので、ゲストとして呼んでいただき熊本へ行ったんです。そうしたら登壇日の夜、一瞬、ゾクッとして……『あれ、コロナかな、ヤバいな』と焦りました。でも、そのときはそれだけで、帰りの空港でも平熱で大丈夫でした。ところが、帰宅翌日の夜中、寝ていたら突然、39度の高熱が出たんです」
『リコカツ』は4話の撮影中だったが、翌朝、撮影予定をキャンセルしてPCR検査を受けた。しかし陰性。ただの風邪かもしれないものの、ドラマのプロデューサーの勧めでクリニックを受診。血液検査をしたところ、白血球数が異常値を示していた。
「『詳しく調べる必要があります。入院の準備をして大学病院にいらしてください』と言われました。それで翌日、大学病院へいったら、すぐに多発性骨髄腫と告げられたのです。告知を受けても頭の中が真っ白になったりはせず、どこか他人事のようで『で、どうしたらいいですかねぇ』なんて先生に聞いたりしていました」
しかし、症状は深刻だった。人工透析が必要と思われるほど腎機能が落ちていたのだ。