“唯一無二の存在”の穴をどう埋めるか──。開幕ダッシュに成功した巨人が4月29日から4連敗を喫している。29日の阪神戦はエースの菅野智之が右肘の違和感で3回降板。30日には坂本勇人が右ヒザ内側副靭帯の損傷と投打の軸の故障が発生。2人とも登録を抹消され、危機を迎えている。プロ野球担当記者が話す。
「菅野の穴も痛いですが、3年前や去年も調子が上がらない時期があり、昔のように“投げれば勝つ”と計算できる投手ではなくなっている。今年の巨人は4月までに6人もの投手がプロ初勝利を挙げている。その勢いがどこまで続くかわかりませんが、若手投手陣が疲れたり、相手打者が慣れたりしてくるシーズン終盤ならともかく、序盤に菅野の怪我が判明したことは不幸中の幸いかもしれません。問題は坂本の穴です。ベンチにいるだけでも存在感があるキャプテンですから、登録抹消は巨人に大きな損失ですね」(以下同)
坂本は2008年にショートに定着してから、14年連続100試合以上に出場。3割を5度記録。2016年に首位打者、2019年にMVPを獲得し、ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞5回を受賞している。プロ野球史に名を残す選手の欠場は、巨人にとって痛手だ。
過去2年、坂本がスタメンから外れた試合を見ると、昨年は26試合9勝13敗4分と負け越し。一昨年は8試合5勝3敗と勝ち越しているが、途中出場もなかった5試合に限れば2勝3敗と負け越し。昨年9月5日、阪神との首位攻防戦では6対0とリードしていた6回裏の守備から坂本をベンチに下げると、代わりに入った若林晃弘と廣岡大志にエラーが出て同点に追いつかれ、引き分けとなった。
今年は坂本不在の開幕1、2戦は勝利を収めたが、登録抹消の5月1日から連敗している。3日の広島戦では代わりにスタメン出場の廣岡大志、途中からショートに入った増田大輝がエラーして大量失点に繋がった。
「廣岡は守備の面ではやはり粗が目立つ。大事な所でのミスも多く、安心してショートを任せられるには至っていない。エラーは論外としても、坂本がいなくなると守備力が大幅に下がる。坂本欠場中は廣岡、若林などが起用されると思いますが、守備範囲の広さや球際の処理などで歴然とした差があります。
セカンドから吉川尚輝が回る可能性もあるかもしれませんが、そうすると今度はセカンドの守備力が下がる。今年、開幕からセカンドで好調を維持していますから、あまり変えたくないでしょう。原辰徳監督は内心、坂本が帰ってくるまでは5割でいいと計算しているかもしれません」