「治るか治らないか」だけが、治療法を決める基準ではなくなりつつある(イメージ)
日本人の死因第1位である「がん」。生涯で2人に1人は罹患すると言われる「国民病」。男女で罹患するがんの種類には違いがあるという。
男性に多い「肺がん」では、先進医療の「重粒子線治療」が選択肢になるケースがある。『親子で考える「がん」予習ノート』(角川新書)の著者で、国際未病ケア医学研究センターの一石英一郎医師が語る。
「がんの治療では、大きな病院が集まる東京などの大都市に住み、仕事の自由が利く患者さんほど選択肢が広がると言えます。そうしたケースでは、例えばステージ1から3の肺がんであれば、重粒子線治療が選択できるかもしれません。有効性の高い低侵襲治療(※なるべく患者の身体に傷をつけず負担を減らした治療のこと)で、治療期間も大体4週間以内と比較的短期間で済みます」
要介護状態の親がいるなど、治療のために家を空けられないこともある。
「ステージ1の前立腺がんでは、短ければ数日の入院で済み、その後は数か月ごとの通院で済む『ブラキセラピー』という放射線治療を選ぶこともできます」(一石医師)
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が言う。
「今は外科手術を含め治療の低侵襲化が急速に進んでいます。昔は開腹手術が必要だった部位も、腹腔鏡手術や内視鏡治療で取ることができる。放射線治療も、今は重粒子線治療があります。先進医療を受ければ、親の介護をして普段通りの生活を送りながら、治療を続けることが可能になると思います。
生存率という指標以外に、自分のライフスタイルに合わせて治療選択をするのは本来あるべき姿。親の介護を続けたいのであれば、それができる治療法はないか、主治医に相談してみるのがいいでしょう」