一方で、沖縄だから考えることもある。過去に沖縄が舞台になった朝ドラは2001年『ちゅらさん』、2012年の『純と愛』があるが、本土復帰前の時代を描くのは、『ちむどんどん』が初めてだ。ドラマにも出てきたが、通貨は米ドルで、本土へ行くためには「日本渡航証明書」というパスポートが必要だった。折しも2日にBSプレミアムで放送された『ふたりのウルトラマン』も同じ時代が舞台で、「ウルトラ」シリーズの沖縄出身の脚本家・上原正三(佐久本宝)は、仲間に本土復帰を祝われると「何がめでたい」と不快感をあらわにする。
上原とともに活躍した金城哲夫(満島真之介)は、国際海洋博の式典演出を担当するが、沖縄では海洋博反対運動が激しく、金城は苦しむことになる。沖縄の人たちが、どんな思いで本土復帰の日を迎えたか、改めて考えずにはいられない内容だった。
『ちむどんどん』で、大きく変わっていく環境、価値観などがどれほど描かれていくのか。沖縄ならではのこの事情が、人間ドラマを深くするのは間違いない。それこそが、この時代を舞台にした意味だ。こどものころから「おいしいものノート」をつけていた暢子は、沖縄の料理に夢をかけて生きていくことになる。時代にもまれる四兄弟には、たくましく生きてほしいと願う。