開幕9連敗の悪夢からようやく抜け出しつつある阪神。しかし、球団内からは困惑の声が絶えず聞こえてくる。指揮官・矢野燿大監督(53)の“不思議なトレーニング“への傾倒が止まらないからだ。
ビッグウェーブ連発
5月1日の東京ドーム。敵地で巨人を3タテし、連勝を6に伸ばした阪神の矢野耀大・監督は、勝利インタビューでこう語った。
「ビッグウェーブにしていきたいですし、5月、いいスタート切れたんでね。いい形で甲子園に戻れる形を全員で作れたので、本当にビッグウェーブにしていきます」
チームの勢いを大きな“波“にしたい──指揮官としては至極当然の発言のようだが、2度繰り返された「ビッグウェーブ」という言葉に顔をしかめた虎党は少なくない。
親会社の阪急阪神HD(ホールディングス)関係者が重い口を開く。
「せっかく6連勝を果たした直後に、あれほどファンやOBから不審がられた『波』という言葉をわざわざ連発するなんて。歓喜に沸く阪神ファンの気持ちが複雑なものに変わっていくのが伝わってきました」
その原因となったのは、4月15日の巨人戦での矢野監督の言動だ。1勝15敗1分の中、宿敵を本拠地・甲子園で迎え撃ったこの日、阪神はようやく今季2勝目を挙げた。
「ちょっと時間、大丈夫ですか」
試合終了後の勝利インタビュー中にそう切り出した矢野監督は、「波」「ビッグウェーブ」などと記された謎の色紙を掲げてこう語った。
「今日、お友達の文字職人の杉浦誠司さんに来ていただいて、365枚ある札の中から漢字一文字を引き当てるんですけど、僕がチームをイメージしながら引いたのは『波』という字。潮も引いて、波が起きる。浮き沈みもあるけど、みんなで大きい波を作っていこう、それは楽しむことが一番大事じゃないか、というメッセージをもらって戦っていました」