国際情報

キーウで営業再開の花を売る女性「ミサイル当たったら運命、怖いという気持ちない」

花を売るハリナさん(写真撮影/水谷竹秀氏)

花を売るハリナさん(写真撮影/水谷竹秀氏)

 長引くロシアによるウクライナ侵攻。ミサイル攻撃を受けた首都キーウはどうなっているのか。現地からノンフィクションライターの水谷竹秀氏がレポートする。

 * * *
 高層アパートの3階部分までが大破していた。道路に面した窓側一面は吹き飛んで空洞と化し、鉄筋はぐにゃぐにゃに折れ曲がっている。爆風の影響で、周辺のアパートの窓ガラスも粉々に砕け散っていた。ロシア軍によって4月28日夜、ミサイルが撃ち込まれたウクライナ首都キーウの現場だ。翌日夕方に訪れてみると、規制線の中にはまだ警察官2人が残っていた。

 報道によると、このミサイルで、アパートの住人ら10人が負傷、1人が死亡した。キーウでは28日、国連のグテーレス事務総長とゼレンスキー大統領の会談が行なわれていた。

 キーウ中心部はここ最近、歩行者の数が多くなり、飲食店も次々と営業を再開している。まさしく日常が戻りつつある中でのミサイル攻撃だった。現場は地下鉄のルキアナフスカ駅に近く、付近は3月半ばにもミサイルが撃ち込まれた。にもかかわらず路上では、頭巾をかぶったおばさんたちが、色とりどりの花々や野菜を売っていた。

 戦争勃発後、孫のアパートに一時避難していたというハリナさん(68)は、3月上旬から花を売り始めた。路上には真っ赤なチューリップや白い水仙などが並ぶ。

「花畑のオーナーに頼まれてここで売っています。戦争だから花がなかなか売れないみたい。この周りは知り合いばかりだから働きやすいわよ。一般の客だけでなく、兵士も買いに来てくれます。階級の高そうな兵士がまとめ買いしてくれることもありました」

 ハリナさんの1日の売り上げは300~600フリヴニャ(約1300~2600円)。商売をしている期間、ミサイル攻撃は直接的には目撃していない。いずれも営業時間外だったためだ。

「だからそんなに怖いという気持ちはないかな。まさか命までは狙われないでしょう。私は年も取っているから、もしミサイルが当たったら運命だと思うわよ。運命からは逃げられないからね」

関連記事

トピックス

亀梨和也
亀梨和也がKAT-TUNを脱退へ 中丸と上田でグループ継続するか話し合い中、田中みな実との電撃婚の可能性も 
女性セブン
水原問題について語った井川氏
ギャンブルで106億円“溶かした”大王製紙前会長・井川意高が分析する水原一平被告(40)が囚われた“ひりひり感”「手をつけちゃいけないカネで賭けてからがスタート」【量刑言い渡し前の提言】
NEWSポストセブン
ボブスタイルにイメチェンされた佳子さま(時事通信フォト)
「ボブスタイルに大胆イメチェン」「ご両親との距離感」に垣間見える佳子さま(30)の“ストレスフリーな一人暮らし生活”
週刊ポスト
都内のマンションから緊急搬送された小島瑠璃子
「娘は大丈夫、元気です。でも…」小島瑠璃子(31)の母が明かした“困惑” 現場に居合わせた赤ちゃんは無事《夫は緊急搬送され死亡》 
NEWSポストセブン
吉田義男さん
追悼 阪神元監督・吉田義男さんが明かしていた思い「V9時代の巨人に勝てる気はしなかったが、監督として川上巨人を手本にチームづくりしたことはない」
NEWSポストセブン
都内のマンションから緊急搬送された小島瑠璃子(HPより、現在は削除ずみ)
《母親も駆けつけた緊迫の一部始終》第一発見者の小島瑠璃子も救急搬送、現場では「ドンッドンッ」と音が
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《舌、眼球を取り出して…》田村瑠奈被告の母親、遺体損壊を知りながら通報できなかった理由を語る「親としての気持ちがあった」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
都内のマンションから緊急搬送された小島瑠璃子
《小島瑠璃子が緊急搬送》夫の実業家はサウナ事業を展開「オープンしなかった…」「この半年で資本金大幅減」
NEWSポストセブン
新製品
《大騒動》秋葉原のPCショップに300人以上の転売ヤーら殺到…近接する幼稚園への侵入者に職員が「さすまた」で対応する緊迫の瞬間も
NEWSポストセブン
旧5人のメンバー。左から石崎琴美、吉田知那美、吉田夕梨花、鈴木夕湖、藤沢五月(時事通信フォト、Loco Solare)
《崖っぷちのロコ・ソラーレに新メンバー加入!》背景には3つの「切実なチーム事情」 「今季14戦で優勝ゼロ」で五輪3大会連続出場に最大の危機
NEWSポストセブン
事務所『シャシャ・コーポレイション』を40年近く支えてきた小林聡美(左)ともたいまさこ(右/時事通信フォト)
《事務所が昨年末に解散》女優の小林聡美が還暦前に独立『やっぱり猫が好き』考案の社長との別れ、盟友もたいまさこは事実上の引退へ
NEWSポストセブン
“怪演”が視聴者を驚かせ、ネットがザワついた池脇千鶴
《たるんだ頬にメガネ姿》フジドラマで中年女性役を演じる池脇千鶴「生涯ずっと女優でいたい」の怪演
NEWSポストセブン