皇后というお立場は、時に「国母」と表現されることがある。日本という国の母であり、日本国民の母であることを意味している。皇后となられてから3年──雅子さまは、日本のみにとどまらない“世界平和の母”としての重要な責務を担われようとしている。
「令和」の時代が幕を開けてから、丸3年が過ぎた。昭和から平成にかけての改元と異なり、服喪を伴わない新時代の到来は、日本中を慶祝ムードに包んだ。しかし、2019年秋に天皇陛下の即位にまつわるさまざまな儀式が行われてから数か月後には、世界は新型コロナウイルスとの終わりの見えない長い闘いのトンネルに入ってしまう。令和皇室は、大半がコロナ禍の影響下にあり、耐え忍ぶ時間が続いている。
「公務の絶対数は減り、オンラインで行われることも増えました。雅子さまは公務が減ったことにより、体調を整えにくくなられた面もあったそうです。それでもこの4月には、13日、18日、23日と短い間隔で複数の公務を担われました」(宮内庁関係者)
そんな雅子さまが、皇后として大きな山場を迎えられようとしている。5月22日から、アメリカのバイデン大統領が大統領就任後、初訪日する。
「岸田文雄首相との会談や日米豪印4か国の首脳会合のほか、天皇陛下との接見も設定されるでしょう。コロナ禍もあり、バイデン氏はファーストレディーであるジル夫人を伴わずに来日するとみられています。一方、バイデン氏への歓待の意味を込め、両陛下でお迎えすることは考えられます。実際、2009年と2014年にオバマ大統領が単独で来日したときには、当時の天皇皇后両陛下(上皇ご夫妻)が揃っておもてなしをされました」(皇室記者)
アメリカ・旧ソ連両国を知る数少ない存在
現在、世界は騒乱の中にある。ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから間もなく3か月が経過する。
「天皇陛下の即位にまつわる儀式で、雅子さまはウクライナのゼレンスキー大統領夫妻とお会いしている。現在、報道を注視され心を痛められているそうです」(前出・皇室記者)
2019年10月22日、即位礼正殿の儀の折、ゼレンスキー氏は皇居・宮殿に足を踏み入れた。タキシードに白い蝶ネクタイ姿で、微笑んではいるが緊張の色が見て取れる。隣には、ウクライナ国旗の色を思わせる薄いブルーのスリットドレスを身にまとったオレナ夫人の姿があった。
ゼレンスキー氏は差し出された陛下の右手をがっしりと握り、笑顔で祝意を伝える。その後、ゼレンスキー氏は雅子さまとも握手。雅子さまは、ゼレンスキー氏とオレナ夫人にまっすぐ視線を送られながら、柔和な笑顔でお言葉を返されていた。