1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、5月8日にあげた調教師としての「初勝利」についてお届けする。
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JRAホームページに僕の「初勝利」として《2022年5月8日2回東京6日7Rバニシングポイント・延19頭目》と記されました。
バニシングポイントが勝ったのは2歳8月の札幌新馬戦以来およそ1年9か月ぶり。その時は2着に7馬身差をつける強い勝ち方でした。暮れのGIホープフルステークスにも出走している期待馬でしたが、なかなか結果が出ませんでした。
古馬と走るようになった3歳6月からの10戦で2着が5回と、だいぶ復調してきた。藤沢和雄厩舎での技術研修でデビューからずっと見ていたので、だいぶ特徴をつかみつつありました。「我」が強くて難しいけれど、おだてると調子に乗るタイプではないかと思っていて「やればできるぞ(YDK)」と繰り返しささやいていました(笑)。
開業後の3月21日(月・祝)の中山競馬場の2000mでは、1番人気に支持されましたが9着。騎乗したルメール騎手によれば、「長くいい脚を使うシーンがなかったけれど、広い競馬場ならば」ということでした。馬の気持ちが変わってきたということが見受けられていたので、何かきっかけがあれば変わってきてもおかしくないと思っていました。
お父さんがタピットの外国産馬ですが、実はこの馬のお姉さんであるレリカリオには騎乗したことがあります。調教師として初めて勝った馬のお姉さんに騎乗したことがあるというのもジョッキー出身ならではでしょう。2018年2月小倉の3歳未勝利戦。出遅れて大きく置かれ気味になりましたが、後半盛り返して6着でした。
今回も先に抜け出した1番人気の馬を目標に、東京の長い直線で末脚を発揮してくれました。横山武史騎手が馬の持ち味をうまく生かしてくれたと思います。