アンガールズの田中卓志(46才)がゴールデン初MCを務めていることでも話題の『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ系)。初回放送後、ネット上には「『めちゃイケ』にそっくり」などとする声が上がった。どこが似ているのか? また、今後、どんなアップデートが求められているのか? テレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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15日夜、今春スタートの新番組『呼び出し先生タナカ』が2回目の放送を迎えます。同番組のコンセプトは、「担任のタナカ先生(田中卓志)がさまざまな生徒ゲストを呼び出し、熱血指導!“勉強”と“笑い”を融合したお笑い教育“一斉テスト”バラエティー」。
4月24日の初回放送は15人もの人気芸能人を集めた3時間特番でしたが、放送中からネット上には、「『めちゃイケ』の抜き打ちテストとほぼ同じ」「『平成教育委員会』にも似ている」「同じフジテレビの番組だからこれでもいいのか?」など過去の番組と比較する声が飛び交っていました。
では、どこが似ているのか? また、似ていることの意味は? さらに、令和版としてどのようなアップデートが望まれているのでしょうか。
“お勉強バラエティ”はフジの財産
まず「似ている」「ほぼ同じ」と指摘されているのは、「生徒役のおバカな解答を先生役のMCがイジる」という構成。この点は『めちゃイケ』とほぼ同じであり、『平成教育委員会』にも似たニュアンスがあります。
また、上位から順位を発表し、最下位に最大のスポットを当てる演出は『めちゃイケ』とほぼ同じ。だからこそ生徒役のキャスティングには、成績優秀なタレントが少なく、最下位候補のタレントが大半を占めていますが、この点も『めちゃイケ』と似ています。一方、『平成教育委員会』はトップの「優等生」を決める形だっただけに、『呼び出し先生タナカ』は、『めちゃイケ』のような笑い重視の番組なのでしょう。
次にテストの難易度という点も、『呼び出し先生タナカ』の「できなきゃ恥ずかしい小・中学校レベル」は、『めちゃイケ』の「中学生レベル」、『平成教育委員会』の「小・中学生レベル」と似ています。『呼び出し先生タナカ』は体育、美術、音楽、家庭科などの実技を加えていますが、やはり番組の中心は筆記テストだけに「ハッキリとした違いを見せる」というところには至っていません。
むしろ「似ている」「ほぼ同じ」と言われることを承知で制作しているのは間違いないでしょう。『平成教育委員会』から『めちゃイケ』の抜き打ちテストと続く「“お勉強バラエティ”は言わばフジテレビの財産。それは令和の今も有効活用できるのではないか」という制作の背景が見て取れるのです。
さらに、近年はキモキャラではなく,「実は広島大学工学部卒のインテリ」「笑いに熱く後輩思い」などの賢さや人間性が支持されはじめていたアンガールズ・田中卓志さんをMCに起用。“ゴールデンタイム初MC”という新鮮さもある田中さんのゆるさや優しさも含め、「令和版としてアップデートしよう」という意図がうかがえます。
しかし、番組名とMCを変えただけでは、令和版のアップデートとしては不十分。新番組だからこそ、現在の視聴者心理や価値観に合わせた構成・演出が求められています。