フジテレビが生中継する日本格闘技界最大のビッグマッチをめぐり、浮上したコンプライアンス問題──『週刊ポスト』2022年5月20日号の記事〈天心vs武尊の仕掛け人RIZIN代表・榊原信行氏「反社交際音声」流出トラブル〉に当事者が反論、すべての疑問に答えた。【前後編の後編。前編から読む】
「500万円を渡した」
榊原氏がこの音声データの存在を知ったのは昨年12月だったという。
「大学の同級生だった女性から電話があり、『知り合いのXというジャーナリストが、榊原くんにマイナスになる音声データを持っているから話をしたほうがいい』ということで、彼女の紹介でX氏に会ったんです。
彼は国会周りの記者クラブに所属し、政界情報などを発信するメディア会社の取締役だと名乗っていました。この音声も国会議員の秘書が入手して、いろんなメディアで記事にするように頼まれていると。自分はRIZINのファンでもあり、榊原さんを守りたいのでどのように対応するかを相談しに来たというわけです。
その時音声をチラッと聞かせてもらいましたが、やはり記憶にはないし、聞いても私自身が反社と交際しているという内容でもないから、問題はないと思いました。しかし一方で、当時は天心VS武尊が正式発表されるタイミングで、少しでもネガティブな話題が広がることは避けたい、一点の曇りもあってはいけないという気持ちがありました。X氏は自分が動けることなら何でもすると言うし、自分が知らない政治やジャーナリズムの世界を知っているとのことだったので、信頼して任せることにしました」(以下、断わりのない限り「 」内の発言は榊原氏)
『週刊ポスト』が仲介者の女性に話を訊くと「榊原さんとX氏をつないだのは確かに私ですが、それ以外については話を控えたい」とのことだった。榊原氏はX氏との話し合いを続ける中で、500万円という大金を渡すことにしたのだという。
「X氏は2月中旬に会食した際、国会議員の具体的な名前を挙げました。さらに、いろんなメディアに持ち込んで拡散したりする事件師と言われる人物も関わっていると聞きました。その事件師は、『フジテレビにこの話を持ち込んだらいい』という話をしていると聞き、すごくリアルな恐怖を感じたんです。
X氏から500万円ぐらいの活動費があれば事を収められると聞き、恐怖心もあったし、今後は自分がコンサル的に動いて情報を持ってきたり、コントロールしたりしますよという話もされ、500万円を渡しました」