スポーツ

佐々木朗希の投球動作解析 特徴は「バレーのスパイクのようなリリース」

佐々木朗希の投球動作を筑波大学硬式野球部監督の川村卓氏が解析(撮影/藤岡雅樹)

佐々木朗希の投球動作を筑波大学硬式野球部監督の川村卓氏が解析

 5月6日の福岡ソフトバンク戦に登板した佐々木朗希(20)は、6回91球で降板した。直球は48球で、そのうちの90%近い41球が160キロを超えた(平均の球速は160.7キロ)。彼の投球技術は何がどう優れているのか。

 国内における投球動作解析の第一人者で、筑波大学硬式野球部監督の川村卓氏は、高校時代の佐々木と対面し、動作解析によってアドバイスを送ったこともある。

「高校時代に比べ右足でプレートを深く、しっかりと押せていることが、安定してスピードを出すことにつながっている。股関節回りの筋肉、簡単に言えば体幹部がトレーニングによって鍛えられたことが大きな要因でしょう。左脚は踏み込む時に地面を強く押し返し、上体が骨盤に乗った状態ができあがっている。大谷翔平選手にも共通する動きですね。それによって腕が上から下に強く振れるようになっています」

 また、白球を握り込んだ右腕が頭部近くを通り、よりコンパクトな腕の振りに。

「佐々木投手の投球フォームの大きな特徴は、リリースポイントが非常に高い位置である点です。バレーボールのスパイクのように、背中をうまく反った状態から、高い地点でパチンと手首を返すような動きをする。これによって腕をムチのようにしならせている」

 一般的には、できるだけ前でリリースした方が打者との距離が近くなって効果的だと指導されるだろう。

「その方がボールに長く力を加えられますし、制球も安定する。それとは対称的にこの高い地点からのリリースは(身長190センチの)佐々木投手だからできる独特のものです。そして、上から下への軌道から、スーッと伸びてくる直球と、ストンと落ちるフォークがある。打者は見分けがつかないだろうなと思います」

 川村氏の解析でも、非の打ち所がないフォームであることが明らかになった。

【プロフィール】
佐々木朗希(ささき・ろうき)/2001年11月3日生まれ、岩手県陸前高田市出身。県立大船渡高校を卒業後、2019年のドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団。4月10日に28年ぶりの完全試合と史上初の13者連続奪三振を達成した。

川村卓(かわむら・たかし)/1970年生まれ、北海道出身。札幌開成高校の3年時には主将として夏の甲子園に出場。筑波大学大学院体育研究科修了後、2000年に同大硬式野球部の監督に就任。現在は同大体育専門学群准教授を務め、日本の「動作解析の第一人者」として知られる。

取材・文/柳川悠二

撮影/藤岡雅樹

※週刊ポスト2022年5月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン