「あなたにも起こるかもしれない」ストーリー
がぜん、『昼上がりのオンナたち』に期待が高まってくるが、4作すべてが不倫ドラマということではないらしい。が、「こういうの、すごくわかる」「そういえばママ友から、こんな話を聞いたことある」というような「明日、あなたにも起こるかもしれないストーリー」だという。
筆者には思い出される番組がある。それは18歳~30歳までの独身女性が毎回20名出演し、明石家さんまと恋愛トークバトルを繰り広げていた『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)だ。実は『~から騒ぎ』では何度か「人妻大会」という、文字通り、人妻が恋バナをするスペシャルがあったのである。構成者の一人としてオーディションの審査員をしていた私が毎回驚かされたのは、不倫の話を自慢げに(!)話す人妻が実に多かったことだ。
「それ、オンエアで話せるんですか?」と聞くと、「さすがに話せない」という人たちばかりだったが、ドロドロの不倫ではなく、ちょっと心が動いたり、夫には言えない秘密の恋などをしたりした経験を誰かに聴いてほしい女性というのは多いのだなぁと思ったものだ。
そして不倫といえば、4月1日に終了した『バイキングMORE』では、芸能人の不倫が度々取り上げてきた。F3層(50~64歳の女性)、あるいはF4層(65歳以上の女性)の主婦が多く見ていた番組ゆえ、いわゆる“サレ妻”に味方をした構成が目立っていたが、もう少し若い年代の女性たちがそこに共感していたかどうかはわからない。夫婦と若い独身女性という図式の不倫ではなく、妻の不倫や、妻帯者に恋をした女性のケースは、そういえば、ほとんど取り上げられなかった。
不倫を正当化はできないものの、不倫をきっかけに結婚した女性有名人や、妻の不倫によって夫婦が破綻したとしても当該女性が叩かれないケースが増えたのも近年のリアルだ。
今年3月、その『バイキングMORE』に『金魚妻』のPRで登場した篠原涼子は、前述の並木氏の名前を挙げ、女性監督ならではの目線と美しい映像を絶賛。濡れ場もあるが、女性に共感してもらえるハズと胸を張った。その並木氏と“金魚妻”チームが再び結集。「何か、満たされない」「何か物足りない」という小さな心の綻びから禁断の恋に踏み込んでいく『昼上がりのオンナたち』のヒロインたちに対し、コアターゲットの女性視聴者が何を感じるのか。非常に興味深い。
◆構成/山田美保子
『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)などを手がける放送作家。コメンテーターとして『ドデスカ!』(メ~テレ)、『アップ!』(同)、『1周回って知らない話』(日本テレビ系)、『サンデージャポン』(TBS系)などに出演中。CM各賞の審査員も務める。