あの名解説が聞けなくなるなんて──3月場所後に発表された職務分掌での元横綱・稀勢の里(二所ノ関親方)の「審判部への異動」を受けてそんな嘆きが聞こえてくる。
今回の異動によって階級は委員待遇年寄から委員に昇格。親方の“序列”では81番目から57番目に大躍進となった。
「2019年に引退後、誰もが経験する場内警備を経て、稀勢の里は記者クラブ担当(広報部)に異動。今回は土俵脇でNHK中継に映る“花形職”の審判部となった。5月場所初日は三段目の相撲で登場。場内アナウンスで紹介されると歓声が起きた。幹部候補は様々な役職を経験するもので、今後は巡業部、地方場所担当を経て、いずれ理事長候補になるだろう」(担当記者)
出世街道に乗ったわけだが、異動を残念がる声もある。前任の広報部ではテレビやラジオ中継の解説を担っていたからだ。
「現役時代の寡黙なイメージと違って解説でハキハキとしゃべり、力士の心理を代弁。取り口をプロならではの見方で解説できると評判だった。NHK側は相当ガッカリしている」(協会関係者)
その稀勢の里の“後釜”となったのが、元横綱・白鵬の間垣親方である。
委員待遇年寄で親方の序列では87番目だが、場内警備から広報部に異動。NHK『サンデースポーツ』のコメンテーターも務めるなど、稀勢の里の“後継者”の位置づけだ。
「NHKも売り出しに熱心で、早くから白鵬が7日目の解説に登場し、ゲスト出演するモデルのアイリさん(元大関・若嶋津の長女)らと並ぶと連日PRした。現役時代の好き放題の言動で白鵬が協会内で冷遇されるという見方もあったが、今のところいいポジションを与えられている」(前出・担当記者)