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旧作映画のデジタル・リマスター 退色加減も見定められる「職人の目」

上映用のプリントも年数が経つと色が退色してくるという

上映用のプリントも年数が経つと色が退色してくるという

 フィルムで撮られていた旧作をデジタル・リマスターして撮影当時の画質に近づけようとするためには、当初のフィルムにどれだけの情報が記録されていたのかを把握しておく必要がある。その確認はいかにして行なわれているのか。映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、東映ラボ・テックの根岸誠氏に再度、話を聞いた。

 * * *
根岸:とにかく上映用のプリント(ポジフィルム)を見るしかありません。ただ、上映用のプリントも年数が経つと色が退色してきているんですよね。なので、退色の度合いを想定しながら確認しています。

 弊社の技術者は、現存しているフィルムがあれば、そのフィルムをお借りして、社内の試写室で観て確認します。

 その上で、今回の作品はこういう仕上がりにしてほしいという要望があれば、それを踏まえて作っていくということになります。

――退色したプリントを見て、そこから本来の色を想定していくのですか?

根岸:それしかありません。プリントを見るという部分ではみなプロなので、そこは大丈夫です。

――現像されてから何年経っているか、またどのくらいの回数上映しているか。そのあたりを計算しながら確認するわけですね。

根岸:はい。また、退色の度合いというのは保存状態で違います。ですので、そういうことも考慮しながら見ていくということでしかないのです。

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