もうすぐ梅雨のシーズンが到来。じめじめとした空気で気になるのはダニとカビの増殖だ。どんな場所に発生しやすく、体にどのような影響があるのだろうか。専門家に聞いた。
ダニとカビは共に、温度20〜30℃、湿度70%以上の環境を好む。そのため、梅雨時から夏にかけて急増する。ダニとカビに詳しい農学博士の川上裕司さんが説明する。
「ダニとカビは、人間の皮脂や抜け落ちた髪の毛、繊維、食べこぼし、石けんかすなどの室内の汚れ・ほこり(ハウスダスト)を栄養源にして増殖します」
とはいうものの、ダニもカビも目には見えない。繁殖しているかわかりにくいが……。病院清掃35年の医療環境管理士・松本忠男さんはこう話す。
「ほこり(ハウスダスト)はダニやその死骸、フンのかたまり。つまり、ほこりがあれば、ダニやそのエサであるカビがたくさんいると思って間違いありません」
ものがたくさんある家ほどほこりはたまりやすい。つまり、ダニとカビも発生しやすいということになる。ダニ研究の第一人者で医学博士の高岡正敏さんが説明する。
「家の中でダニが多いのは布団やベッドなどの寝具類。これらには、ダニのエサである人間の皮脂やフケ、髪の毛が付着しやすいからです。さらに、寝具の中は暖かく、湿度もあるため、ダニにとっては楽園なのです」
そのほかにも、畳やカーペット、押し入れ、クローゼット、衣類、衣類収納容器、ソファやクッション、ぬいぐるみ、キッチンの食器類、カーテンなどにもダニは多く生息しているという。
アレルギーを起こす要因のトップがダニ
家のどこにでもいるダニとカビは、私たちにどんな影響を及ぼすのだろうか。
「首都圏の人口の5割以上の人がアレルギーを持っていますが、その原因(アレルゲン)の約2割が食品、スギを除いた花粉が約2割、ダニ(ハウスダスト)は7〜8割にものぼります(1996年日本アレルギー学会発表)」(高岡さん)
アレルゲンになるのはダニそのものだけではなく、死骸や脱皮後の皮、フンなども含むので、殺虫剤や熱処理でダニを皆殺しにしても、死骸やフンを取り除かない限り、アレルゲンはなくならない。
また、カビも人体に悪影響を及ぼすという。
「カビは微生物群の一種で、菌の仲間。成熟した菌糸で胞子を作り、それを空中に飛ばして移動します。その胞子を吸い込むと、アレルギーを発症します。また、カビが増殖しやすい環境は細菌も繁殖するため、食中毒の危険性も高まります」(川上さん)
ダニとカビの退治方法として最も効果的なのは、家の中を乾燥させて、汚れを取り除くことだ。