スポーツ

蛯名正義氏が強く思う「常足」の大切さ 上手に「歩ける」馬こそが速い馬

5月15日(日)には競馬学校の同期・武豊騎手騎乗のダイナストーンで2勝目。ウィナーズサークルで初めて喜びを分かち合った

5月15日(日)には競馬学校の同期・武豊騎手騎乗のダイナストーンで2勝目。ウィナーズサークルで初めて喜びを分かち合った

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、馬の歩き方についてお届けする。

 * * *
 いよいよ今週末は、3歳牝馬によるクラシックレース、第83回オークス。そして、翌週には春競馬のクライマックス、日本ダービー。競馬ファンにとっては気もそぞろの毎日でしょう。お客さんも一時にくらべるとだいぶ増えてきました。やはり、我々としても競馬場に足を運んでもらい、レースを間近で味わっていただきたいものです。

 レースの前に出走馬はパドックを周回して、どういう状態なのかをお客さんに見せます。「見ても分からない」という方も多いのですが、レース直前の馬が10分以上目の前を歩くわけだから見たほうがいいと思いますよ。じっと見ていれば、馬によって違いがあるのに気がつくでしょう。それがそのレースの結果に直結するかどうかは分かりませんが、その馬のことが分かるのは間違いない。僕もパドックでは自分の厩舎の馬をじっくり観察します。

 馬乗りをやっていた僕が調教師になって強く思うのは「常歩」(「なみあし」と読みます)の大切さ。英語ではWalk、つまり歩くこと。この基礎ができていない馬は応用ができない。いかにちゃんとした常歩ができるかというのが大事。パドックはそれを見る場といってもいい。

 ただ歩くだけなんて簡単じゃないかと思われるかもしれないけれど、人間だって年を取ってくると背中が丸まってトボトボ歩く感じになる。足が上がっていないと躓いたりするでしょう。競走馬の場合でいえば、力が入りすぎていたり、入れ込んで速歩(はやあし)気味になったり、歩幅が小さかったりする馬がいたりします。

 いい歩き方をする馬は、リラックスしながらも一歩一歩しっかり脚が出ているし、姿勢もきっちりして正しい。けっしてのんびり歩いているわけじゃない。「これからレースなんだ」ということがわかっていて、気を引き締めている感じで、見た目ギクシャクしていない。見ていると力強さと共にいい緊張感が伝わってくるはずです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン