臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、誤送金された4630万円を巡り逮捕された田口翔容疑者の心理を、綾瀬はるか主演のドラマ『元彼の遺言状』(フジテレビ系)に登場するセリフから読み解く。
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山口県阿武町のコロナ関連の給付金4630万円が誤送金され、回収できなくなっている問題で5月18日、田口翔容疑者が逮捕された。返還を拒否し続け、オンラインカジノに金をつぎ込んだとされる容疑者の心理はどのようなものだったのか。それを読み解くには、綾瀬はるかが主演ドラマで演じる役・剣持麗子の言葉がキーワードになる。
今春から放送中のドラマ『元彼の遺言状』で、綾瀬さんは猪突猛進、勇猛果敢、お金が欲しいけど自分の心には正直という敏腕弁護士、剣持麗子を演じている。すっと尖ったシャープな顎にすっきりとした高い鼻、まっすぐな濃い眉毛にしっかりと前を見据える黒い瞳。綾瀬はるかという女優は、この役のようにどこまでもまっすぐに突き進み、自分の心に嘘をつけない芯の強い役がよく似合う。
ドラマの原作は、第19回「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した新川帆立さんの同名小説。主人公の剣持麗子は、容姿端麗でスタイル抜群、派手な高級スーツを身にまとい、ヒールをカツカツと鳴らしながら風を切って我が道を突き進むという強烈なキャラクターだ。綾瀬さんはその役を、キレよく小気味よく、それでいて憎めない可愛らしさを見え隠れさせながら演じている。
その第6話、綾瀬さん演じる麗子が、慕っていた友人を殺してしまった加害者の心理について語ったある“傾向”が、誤送金問題のキーワードになると考える「授かり効果」だ。
第6話は、土井一海演じるホストクラブのナンバー1・織田信長が、味方良助演じるナンバー2ホスト・森蘭丸に、刃物で刺され絶命するところから始まる。蘭丸は、麗子が以前助けた同僚のホスト、望月歩演じる武田信玄に「助けてほしい」と連絡を入れる。「自分は殺していない」と否定した蘭丸だったが、麗子は彼を凶行へと走らせた動機に潜む心理について、「授かり効果」と分析した。