NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』5月22日放送回で、平氏追討の立役者となった源義経(菅田将暉)が、兄・源頼朝(大泉洋)と側近・北条義時(小栗旬)の策謀によって死に追いやられるまでが描かれた。登場人物それぞれの葛藤や悲しみが凝縮され、「過去最高の神回」と評判を呼んでいる。
なかでも話題なのが義経の最期を演じた菅田の演技で、これまで彼の演技に触れることがなかった中高年層からも「すごい演技力」「こんなにいい役者だったのか」と驚嘆の声が上がっている。ベテラン芸能ライターは言う。
「菅田さんが義経を演じると発表された当初は、『軽すぎる』『話題集めのためでは』などと批判的な声が一部にあったのは事実です。大河ドラマを主に視聴する中高年層のなかには、菅田さんが若者向けの恋愛ドラマに多く出演し、歌手活動もしていることから、アイドル的俳優だと思っていた人も多かったようです。
ところが、登場してすぐにその印象を覆した。平気で人を出し抜く計略や、全く空気が読めない言動といった義経像で、これまでの悲劇の英雄像を一新したんです。もっとも、この時点ではまだ“三谷幸喜の脚本のおかげ”と思っていた人が多いようですが、最期に向かうなかで義経のピュアな側面が浮き彫りになるにつれ、この両面を演じられる菅田将暉はとんでもない役者だ、と評価が高まったわけです」
三谷大河のファンだという44歳男性は、菅田に対して抱いていた先入観が完全に覆ったと語る。
「彼のドラマは妻がたまに観ていましたが、私自身がしっかり観たことはなく、マルチアーティスト気取りがなんとなく鼻につくと思っていました。しかし、彼の演じる義経は圧巻でした。大泉洋、佐藤浩市、中村獅童といった三谷大河・常連組の大物役者に交じって遜色ないどころか、終盤は食ってしまっていた印象すらあります。
妻に『菅田将暉ってすごい役者だったんだね』と言ったら、『いまさら知ったの』と鼻で笑われました。今は妻が録画していた『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)を一気観しており、『こんな落ち着いた演技もできるのか』とまた驚いています」