5月10日、自民党参院議員の政治資金パーティで挨拶に立った細田博之・衆院議長の「議長になっても毎月もらう歳費は100万円しかないんです。しか、と言うと怒られちゃうけど。会社の社長は1億円は必ずもらうんですよ」という発言が国民の怒りを呼んでいる。
実際、細田氏はいくら支給されているのか。議長歳費が173万600円(2割減額済)、文書通信交通滞在費(文通費)が100万円、議会雑費が、18万円(30日分で計算)で、合計約292万円が毎月国から支給される計算だ。さらにボーナスは夏冬約527万円ずつの合計約1054万円。議員歳費2割カットは今年7月末が期限で、8月以降は歳費が満額支給される。そうなると議長の月収は国会閉会中(議会雑費なし)でも317万円に増える見込みだ。
細田議長に国から支給される総額は歳費、文通費、議長手当を合わせて今年は約4662万円、年間を通して歳費が満額支給となる来年からは約4966万円、年収ざっと5000万円にのぼる計算だ。
だが、細田氏の本音は国民の批判が不満なようだ。本誌・週刊ポストが議長歳費について細田事務所に取材を申し込むと、細田議長本人から本誌記者に電話が入った。
「(発言が)嘘だと言われると心外なので、手取りの額だけお伝えする。個人情報なので詳細は言わないが、数字だけ言っておくと、5月10日に102万円、4月92万円、3月87万円、2月87万円、1月86万円。それから(議長就任前の)一般議員の時は昨年9、8、7月ともに47万円を受け取っている。これが事実です。
詳しくは知らんが、所得税や住民税も高くとられているし、その他、宿舎や会館の費用が差し引かれて、議員の手元には実際、47万円しか手取りで出ておらず、100万円ももらっていないのは事実です」
細田氏は憤慨したような口調でそう語ると電話を切った。金額から見て、月額歳費だけの手取り金額で、文通費や議会雑費を含めていないと思われる。
細田氏の反論をどう捉えるか。議員特権や政治資金問題に詳しい岩井奉信・日本大学名誉教授が指摘する。
「細田議長はあくまで『手取りが100万円未満』という点を強調したいようですが、報酬の多寡については、支給額面を前提に議論をするのが筋です。というのも、日本の議員は歳費から天引きされる項目が多い。所得税や住民税だけではなく、議員宿舎の家賃や議員会館関連の経費も差し引かれます。サラリーマンは家賃や事務所費は給料から引かれないから、それで比べるのはフェアではない。
そもそも安い家賃で住める議員宿舎や家賃無料で経費分しか請求されない議員会館は国会議員の特権です。その費用を天引きされていることを逆手にとって、手取り額が少ないと主張するのは本末転倒です」