警察庁が「免許返納」を勧めている流れもあり、最近では、西川きよし(75)や二之湯智・国家公安委員長(77)など有名人の免許返納が相次いでいる。一方で「それでも免許は返納したくない」という人たちもいる。作家・猪瀬直樹氏(75)に聞いた。
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僕は常に新しいものを取り入れたいと思っていて、車については1年前の3月にEV(電気自動車)のテスラを買ったばかり。免許を返納するつもりはありません。
3年前の更新時にはS字カーブや車庫入れなどの技能試験をやりましたが、今回の75歳向けの講習では認知機能検査が新たに加わりました。
このテストは簡単な足し算引き算に始まって、次にライオンやら何やらが描いてある4枚の絵を見せられるセットを10回ほど繰り返した。「なんだこれ。簡単だな」と思っていたら、その後、別の問題を解いた後に、試験官が「では、先ほどの絵には何が描いてありましたか」と虚をつく問題を出してきました。
2時間の講習で75点以下は不合格となり、別の日に3時間の講習を再度受けなくてはいけない。45点以下は医師の診断書が必要になる。80点とるのはかなり難しく、油断していたので危なかった(笑)。
高齢者にこうした試験を課すこと自体は問題ないでしょう。一定の違反歴がある75歳以上のドライバーに、実車による運転技能検査を課すこともいい。ただ、その厳しい試験を乗り越えたのなら、免許を返納する必要はないですよね。
そもそも、高齢者による車の事故に関して、個人の責任にし過ぎではないでしょうか。本来、自動車メーカーがアクセルとブレーキを踏み間違えても事故につながりにくい設計にしないといけないはずです。だから私は、安全性を高めるよう設計されたオートパイロット機能が標準装備のテスラに乗っています。メーカーはテクノロジーで安全を解決するべきです。
※週刊ポスト2022年6月3日号