TBSラジオが目指す方向はどこか──。『4月度首都圏ラジオ個人聴取率調査』(ビデオリサーチ調べ)が発表され、TOKYO FMが0.7%で半年ぶり2度目の単独トップに輝いた。2位にはニッポン放送とJ-WAVEが0.6%で並んだ。かつての王者であるTBSラジオは0.5%で4位に転落して、業界に衝撃が走っている。ラジオ局関係者がその背景を解説する。
「この結果は、必然かもしれません。2018年に就任したTBSラジオの三村孝成社長は『聴取率調査』ではなく、パソコンやスマホで放送を聴ける『radiko』(ラジコ)のデータを重視していますからね。たしかに、そのほうが実数値を測れます。
ただ一方で、ラジオ受信機で聴いている人もたくさんいる。だから本来なら、片方だけではなく、両方に力を入れたほうがいい。しかし、『聴取率調査』に豪華ゲストを呼んだり、プレゼントを上げたりする『スペシャルウィーク』を廃止し、復活する気配もない。あまりにドラスティックな改革に社員やパーソナリティだけでなく、リスナーも困惑した。それが徐々に“TBSラジオ離れ”を促し、4位転落という結果に現れたのではないでしょうか」(以下同)
同局は『大沢悠里のゆうゆうワイド』や『荒川強啓デイキャッチ』などの帯番組が人気で、『聴取率調査』で2001年8月から昨年4月まで119期連続1位を獲得した。
「聴取率が良いので、20年近くタイムテーブルをいじる必要がほとんどなかった。ラジオは習慣のメディアと言われ、リスナーはあまり周波数を変えない。そんな理由もあってか、約20年もTBSラジオは1位を続けられました。しかし、パーソナリティの高齢化も進んだことで、近年は帯番組が頻繁に変わっており、改編のたびにリスナーを失っている印象です。年齢によるパーソナリティ交代は仕方ないにしても、バトンの受け継ぎ方が迷走しているように感じます」
2020年6月に土曜午後の『久米宏ラジオなんですけど』が久米本人の意思で終了。同時間帯はバービーの『週末ノオト』に託された。しかし、期待していたような成果が出なかったのか、今春で幕を閉じた。その枠には現在、『井上貴博 土曜日の「あ」』が放送されている。