岸信夫・防衛大臣は5月25日、早朝に北朝鮮がミサイルを発射したことについて防衛省内で会見を開き、「日米・米韓首脳会談や、日米豪印(クアッド)首脳会合が開催された直後の発射は明らかに挑発行動であり、断じて許されない」と批判した。これを受けてSNS上では、北朝鮮への批判と並んで会見する岸防衛相の様子を心配する声が相次いだ。〈岸防衛相、声出てないけど大丈夫?〉〈北朝鮮のミサイルよりも岸防衛相の体調がどんどん悪化している方が気になるわ〉〈岸防衛相めっちゃ体調悪そうだけど大丈夫なん?〉──。
岸防衛相の体調問題をめぐっては、本誌・週刊ポスト(2021年9月10日号)が、「岸信夫・防衛相『歩行に支障』の健康問題浮上」といち早く報じている(NEWSポストセブンで同年8月30日配信)。公用車で防衛省を出た都内の鍼灸院へ向かった岸氏は、車を降りると、膝をかがめ、お腹をかばうように前屈みになってよたよた歩き出した。車のトランクに手をついて体を支える場面もあった。別の日には、長男で秘書官を務める信千世氏(元フジテレビ記者)とともに右手で杖をつき、右足を引きずるように自宅の周囲を15分ほど歩く様子も確認した。それはいかにも体調不安を窺わせるものだった。
本誌は「重症ならば防衛大臣の健康問題は国の安全保障にかかわる問題ではないか」と指摘したが、岸事務所に取材すると、「足の調子が悪く、医師と相談し、念のため杖をついています。職務に影響はございません」と回答があった。
もちろん、足の調子が悪いだけなら、大臣の職務に大きな支障はないだろう。ところがその1か月後の9月28日、岸氏は体調不良のため閣議を欠席。尿路感染症と診断された。すぐに公務に復帰したが、その後も体調がよくなっている気配はない。果たして大丈夫なのか。全国紙政治部記者は言う。
「岸氏は車椅子や杖を使って移動していますが、かなり足下がおぼつかない様子です。それ自体は公務に問題があるわけではありませんが、声の張りなどを見ても明らかに元気な状態とは言いがたく、記者の間でも心配する声が上がっています。
ロシアによるウクライナ侵攻、中国の台湾問題、そして北朝鮮のミサイルと日本をめぐる安全保障が厳しさを増している中、果たして岸防衛相にその重責が務まるのか。そうした疑問が出てきても仕方ないのではないでしょうか」
だが、岸田文雄・首相にそれを検討するそぶりは見えない。
「岸氏が安倍晋三・元首相の実弟だからでしょう。岸田首相はアベノミクスの見直しなどをめぐり安倍氏と緊張状態にある。そうした中で、岸氏の大臣交代を検討などしようものなら、さらに安倍氏を刺激することになってしまいます。そのため、この件は岸田首相にとってアンタッチャブルになっているのです。
岸氏をめぐっては、息子で秘書の信千代氏が跡を継ぐのが順当ですが、一方で信千代氏が子供のいない安倍氏の後を継ぐという見方も出ています。安倍家と岸家の後継問題にも繋がるため、ますます政権内でこの問題には触れづらくなっているのでしょう」(同前)