和歌山県の和歌山南陵高校で、教職員が給料の未払いなどを理由にストライキを行なったことが話題になった。学校運営を担ってきた学校法人南陵学園の小野和利理事長は退任の意向を示したが、5月24日には県が経営実態について立ち入り調査を行ない、生徒や保護者は不安な日々を過ごしている。さらに、本誌・週刊ポストの取材で、小野理事長は教職員だけでなく、生徒との間にも問題を抱えていたことが分かった。同校硬式野球部の関係者が語る。
「小野理事長は硬式野球部の主将だったA君と保護者から暴言や主将解任などのパワハラ行為を受けたと訴えられています。A君の保護者が小野氏を提訴し、口頭弁論が今後、行なわれる予定です」
A君は昨年7月、夏の県予選敗退後に部内投票で新チームの主将に選ばれたが、9月の秋季大会で大敗したことで小野理事長が「総監督」という肩書きで野球部の指導に関わり始めたという。
事情をよく知る別の学校関係者が続ける。
「9月下旬に野球部の4人が深夜に寮を抜け出し、警察に補導される事件が起きた。小野理事長は当事者に退部を迫ったが、A君は主将として4人を守ろうと『罰は部員全員で受ける』と言い、理事長は過度な罰走などを練習メニューに入れた。部員から反対意見が相次いだため、『それではついていけない』とA君が代表して抗議すると、理事長は激怒し、監督やコーチらがいるなかで『アホ』『辞めろ』『バカ』『頭悪いからテストの点数も悪いんだろ』と約40分にわたってA君を罵倒し続けたそうです」
その後もA君はじめ部員たちと理事長との溝は埋まらず、10月1日になって部員を集め、1年生だけでチームをつくると宣言。さらにA君に「主将から外す」と伝えたという。
「その直後、A君は泣き崩れて、自力で立てないほどだった。その後、A君はお母さんに連れられて実家に戻り、野球部は休部することに。適応障害と診断されたそうです。一度は学校に戻ったものの、校内で小野理事長に話しかけられて震えが止まらなくなるなど、心身のバランスを崩し、今年3月に他校に転学しました」(同前)
A君はこうした経緯を申告書にまとめ、県の文化学術課に提出。さらにパワハラ行為で精神的苦痛を受けたとして、大阪地裁に提訴している。
A君の母親に話を聞いたところ、小野理事長を提訴したことを事実として認め、涙ぐみながらこう語った。