芸能

『仁義なき戦い』4Kリマスター 今の技術では「見えてしまう」もの

リマスターにより当時は作り手が「これは見えないだろう」と思っていたものが見えてしまうことも/「仁義なき戦い」(C)東映

リマスターにより当時は作り手が「これは見えないだろう」と思っていたものが見えることも(「仁義なき戦い」(C)東映)

 旧作、特に一九七〇年代の映画には独特のザラつきがあり、『仁義なき戦い』(一九七三年)をはじめ、そうした粗い質感のもたらす荒々しさや乾きが作品の大きな魅力となっていた。その質感を損なわずにデジタル・リマスターする方法について、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が、東映ラボ・テックの根岸誠氏に聞いた。

 * * *
根岸:ザラつきというのは、結局はフィルムの粒子なんです。そしてその粒子はどんなに高精細にスキャンしても、そのまま出るんです。ただ、そのままリマスターすると、すごくザラザラとして、今の若い人にとって、とても見づらい画になってしまうのです。

 ですがフィルムで観た記憶の強い世代からすると、「これだよ、これ」ってなるんですよね。ですから、「どの層に向けて観せるのか」という方針によって、粒子の大きさ、目立たなさを調整するんです。

──粒子一つとっても、見え方を調整しているんですね。

根岸:いろいろな調整が技術的にできるようになったので、当時は「こんな細かい粒子を持ったフィルムはなかったよね」というようなフィルムの表現もできます。

──粒子をなくすこともできれば、さらに細かくもできる。

根岸:そうです。あくまで「見た印象」の上ですが、細かくできます。

──七〇年代の映画ですと、作り手側が狙って映像を粗くしている場合もあります。一方で経年による退色で粗くなっている場合もありますよね。その違いの見極めはどうされていますか?

根岸:通常の考え方からすると、スキャンをしたときに「ああ、このシーンは間違いなく狙って粗く撮っているな」というのは、リマスターをやる技術者はわかるんです。

 そのときは、コンテンツホルダーの方に「ここはこうなっているのだけど、どの程度見やすくしますか?」と聞きます。

 コンテンツホルダーが「ちょっと見やすさを優先しましょう」と言えば、その度合いを調整するということは十分にあります。

関連記事

トピックス

大型特番に次々と出演する明石家さんま
《大型特番の切り札で連続出演》明石家さんまの現在地 日テレ“春のキーマン”に指名、今年70歳でもオファー続く理由
NEWSポストセブン
NewJeans「活動休止」の背景とは(時事通信フォト)
NewJeansはなぜ「活動休止」に追い込まれたのか? 弁護士が語る韓国芸能事務所の「解除できない契約」と日韓での違い
週刊ポスト
昨年10月の近畿大会1回戦で滋賀学園に敗れ、6年ぶりに選抜出場を逃した大阪桐蔭ナイン(産経新聞社)
大阪桐蔭「一強」時代についに“翳り”が? 激戦区でライバルの大阪学院・辻盛監督、履正社の岡田元監督の評価「正直、怖さはないです」「これまで頭を越えていた打球が捕られたりも」
NEWSポストセブン
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん(Instagramより)
《美女インフルエンサーが血まみれで発見》家族が「“性奴隷”にされた」可能性を危惧するドバイ“人身売買パーティー”とは「女性の口に排泄」「約750万円の高額報酬」
NEWSポストセブン
現在はニューヨークで生活を送る眞子さん
「サイズ選びにはちょっと違和感が…」小室眞子さん、渡米前後のファッションに大きな変化“ゆったりすぎるコート”を選んだ心変わり
NEWSポストセブン
屋根工事の足場。普通に生活していると屋根の上は直接、見られない。リフォーム詐欺にとっても狙いめ(写真提供/イメージマート)
《摘発相次ぐリフォーム詐欺》「おたくの屋根、危険ですよ」 作業着姿の男がしつこく屋根のリフォームをすすめたが玄関で住人に会ったとたんに帰った理由
NEWSポストセブン
悠仁さまの通学手段はどうなるのか(時事通信フォト)
《悠仁さまが筑波大学に入学》宮内庁が購入予定の新公用車について「悠仁親王殿下の御用に供するためのものではありません」と全否定する事情
週刊ポスト
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”の女子プロ2人が並んで映ったポスターで関係者ザワザワ…「気が気じゃない」事態に
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・Instagramより 写真は当該の店舗ではありません)
味噌汁混入のネズミは「加熱されていない」とすき家が発表 カタラーゼ検査で調査 「ネズミは熱に敏感」とも説明
NEWSポストセブン
船体の色と合わせて、ブルーのスーツで進水式に臨まれた(2025年3月、神奈川県横浜市 写真/JMPA)
愛子さま 海外のプリンセスたちからオファー殺到のなか、日本赤十字社で「渾身の初仕事」が完了 担当する情報誌が発行される
女性セブン
昨年不倫問題が報じられた柏原明日架(時事通信フォト)
【トリプルボギー不倫だけじゃない】不倫騒動相次ぐ女子ゴルフ 接点は「プロアマ」、ランキング下位選手にとってはスポンサーに自分を売り込む貴重な機会の側面も
週刊ポスト
ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《ドバイの路上で脊椎が折れて血まみれで…》行方不明のウクライナ美女インフルエンサー(20)が発見、“危なすぎる人身売買パーティー”に参加か
NEWSポストセブン