ライフ

庭や草むらで咬まれて…マダニの感染症「SFTS」致死率は日本でも2~3割

春から秋にかけて活発になるマダニの感染症の脅威

春から秋にかけて活発になるマダニの、感染症の脅威

 今もその対応に悩まされている新型コロナウイルスだけでなく、人類は様々な感染症とともに生きていかなければならない。白鴎大学教授の岡田晴恵氏による週刊ポスト連載『感染るんです』より、マダニの感染症についてお届けする。

 * * *
 春から秋にかけて、マダニの活動が活発になります。近年、このマダニに人が咬まれて、ウイルスやリケッチア(細菌の一種)に感染、重症化して亡くなるなど、怖い感染症が報告されています。今週はその一つ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)をご説明します。

 マダニは家の近くの裏庭や畑、草むらや野山など、私たちの身近な場所で動物を吸血して生息しています。食品に発生するコナダニやハウスダストの原因ともされるヒョウダニ等とは異なります。

 草むらの植物の上にいて動物が通ると取りつき、皮膚に口器を突き刺して数日から10日間も吸血します。幼ダニや若ダニは脱皮と成長のために、成ダニの雌は産卵のために吸血し、雌マダニは吸血後に地上に落下し卵を産んで生涯を終えるのです。このようにマダニがそのライフサイクルの各ステージで吸血した際に、ウイルスや細菌が動物側に侵入して病気を起こすことがあるのです。

 SFTSも、SFTSウイルスをもっているマダニに人が咬まれることで感染・発症します。潜伏期は6日から2週間程度で、発熱、食欲低下、嘔吐、下痢、腹痛などが主な症状です。ときに頭痛、筋肉痛や意識障害、痙攣、昏睡などの神経症状、出血症状が出ることもあり、血小板減少と白血球減少がみられます。

 治療薬がありますが、致死率は日本でも2~3割もあります。潜伏期間内に発熱や嘔吐などの症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診して「○月○日にマダニに咬まれました!」と医師に自己申告することが、早期診断と適切な治療開始のためのポイントです。

 すべてのマダニがこのウイルスをもっている訳ではありませんが、日本国内のマダニではフタトゲチマダニやタカサゴキララマダニなど複数のマダニ種からSFTSウイルスの遺伝子が検出されています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン