そして、メキシコ生活ですっかり快活になった姉妹はついに「芸能界」に足を踏み入れることになる。そのきっかけとなったのが、2011年に開催された「東宝シンデレラ」オーディションだった。
芸能界に興味を持ったのは萌音のほうで、萌歌は一緒に応募することになったが、「出たくない」と号泣したという。
しかし、このオーディションで4万4120人のなかから史上最年少で「グランプリ」を獲得したのは、まだ10歳の妹のほうだった。
この時、審査員を務めたアイドル評論家の中森明夫氏が振り返る。
「当時は萌歌の存在感が飛び抜けていました。ものすごい野生美というか、目力があって、まさに原石として輝いていた。うるさ型の芸能記者や映画会社の人たちも“彼女しかいない”という雰囲気になっていましたね」
妹のグランプリ獲得が決まった時、萌音は泣いていたという。それは悔し泣きではなく、受賞を喜ぶ嬉し涙だった──。
萌音も審査員特別賞を獲得し、東宝芸能入り。以来、2人はお互いのことを「同志」と呼ぶ関係を続けてきた。
(第3回に続く)
※週刊ポスト2022年6月10・17日号