ライフ

もっとも健康にいいとされる「1975年の日本の食事」基本は“和食+ちょっと洋食”

1975年の朝食(出典『東北大学 日本食プロジェクト研究室の簡単いきいきレシピ』世界文化社刊)

1975年の朝食。ベーコンと根菜の炒り煮、しらすと小ねぎの卵焼き、わかめと豆腐のみそ汁、果物(出典『東北大学 日本食プロジェクト研究室の簡単いきいきレシピ』世界文化社刊。イラスト/いばさえみ)

 2021年にWHOが発表した日本人の平均寿命は、84.3才。2位のスイスを1才近く引き離して圧倒的首位に君臨する日本は、世界一の長寿大国だ。

 ところが、長寿大国である一方で“健康大国”とは言い難い。厚労省のデータによればBMI25以上の肥満者の割合は男性33.0%、女性22.3%で、ここ10年で過去最高値を記録している。血中コレステロールの値も、この10年間で過去最高。糖尿病が強く疑われる人数は約1196万人と、前回調査の7年前から、約250万人も増加している。

 考えられる理由はやはり“食事”。2005年に行われた東北大学大学院農学研究科と医学系研究科の実験によると、1975年に日本で食べられていた一般的な食事が、もっとも健康によく、寿命を延ばすことにもつながるとわかった。

 被験者を2つのグループに分け、それぞれ現代人の一般的な食事と1975年型の食事を、1日3食、28日間食べ続けるようにしたところ、1975年型の食事をしたグループは、BMIや体重、悪玉コレステロール値、ヘモグロビン、A1c(糖尿病の指数)が明らかに減少した。さらに腹囲が細くなり、善玉コレステロール値は上昇。ストレス指数が減り、運動能力の増加まで見られた。この実験にかかわった元東北大学大学院准教授の都築毅さんが説明する。

「1975年型の食事は、1食で摂取できる食材の種類が豊富なのが特徴です。現代人に不足しがちなビタミン、ミネラルを充分に摂取できるほか、動物性たんぱく質は、肉も食べるが魚がメイン。質のよい栄養素をバランスよく摂取することで、内臓脂肪が3分の1~2分の1に減少したほか、認知症リスクが4分の1になり、代謝が上がって体重も平均6?8kgも減少しました」

 このほか、老化の進行が抑えられ、しわやシミ、白髪予防になるほか、がん、糖尿病などの発症リスクまで軽減することがわかっている。

伝統的な和食よりも「ちょっと洋食」がいい

 1975年型の食事とは、ひと言で言えば「基本は和食+ちょっと洋食」。それまでは伝統的な和食が食べられていたが、1975年頃から洋食が流行し始め、一般庶民の食卓にも上るようになったのだ。

 1960年頃の食事は米の量が多くておかずの種類が少なく、粗食すぎる。塩分が多すぎることも問題だ。1990年頃になると洋食の占める割合が増え、2005年にはさらに増え、脂質が多すぎてしまう。和食と洋食の割合は、1975年の食卓がもっとも理想的なのだ。管理栄養士の検見崎聡美さんが言う。

「当時は、揚げる、炒めるといった、油をたくさん使う調理方法は、現在ほど一般的ではありませんでした。基本は、煮るか、ゆでるか。1975年当時は、油の多い洋食が献立に入るときでも、それ以外のメニューはすべて和食のままだったので、自然とバランスが取れていたのです。

 例えば、パスタにするなら、つけ合わせはほうれん草のソテーではなくおひたし。洋食にスープではなくみそ汁を合わせるのも、当時はよくあったことではないでしょうか」

 同時に、肉を食べる回数もいまよりずっと少なかった。都築さんによれば、肉食は1975年頃に一気に日本に浸透していったのだという。

「1960年の日本人の1日の肉摂取量は、1人あたり約20g。そこから少しずつ増えていきますが1970年の時点では50g未満です。それが1975年になると一気に約64gまで増えるのです」(都築さん)

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン