激戦が続くウクライナのザポリージャとドネツクの中間にある東部の最前線──私はそこで、ウクライナ軍と共に戦う外国人義勇軍「ジョージア部隊」に従軍した。1991年のソ連崩壊時に独立したジョージアの国籍を持つ者を中心に約800人の兵士が在籍する。ジョージア人以外に米英仏などからの義勇兵が加わり、私が部隊と行動を共にした5月12~17日に顔を合わせることはなかったが、日本からも志願兵3人が参加しているという。
主に取材に答えた副司令官・レヴァンが指揮するチームは、かつてジョージア軍のスペツナズ(特殊任務部隊)だったという兵士で構成される。NATO(北大西洋条約機構)からウクライナ軍経由で提供された対戦車ミサイル「ジャベリン」や「NLAW」、対空ミサイルの「スティンガー」を扱い、チームの練度の高さが読み取れる。
今回の戦争では、激戦地を転戦。キーウ近郊の空港の奪還作戦にも投入され、現在はロシア軍陣地から2kmの距離まで近づいての作戦を遂行する。
「小型ドローンで偵察し、砲撃でロシア兵に恐怖を与える。そして最後には突入して、殲滅するんだ」
不敵な笑いを浮かべ、レヴァンはそう語った。
このチームには、百戦錬磨のスナイパーも多数いる。彼らは草木に偽装したギリースーツに身を包み、ゆっくりと匍匐前進でロシア軍陣地に500mのところまで接近。相手陣地の状況を偵察し、チャンスがあれば狙撃する。使うライフルは、12.7mmの弾で1000mを超える先の標的を狙える「バレットM82」や、世界のトップクラスのスナイパーが愛用するアキュラシーインターナショナル「L96A3(338ラプアマグナム弾)」だ。
写真右のスナイパーは、前日にも2人のロシア兵を狙撃したという。
2月末からずっと戦い続けている彼に“たまには休暇を取ったほうがいいのでは?”と聞くと、「そんな必要ないよ。俺たちは戦争がしたくてここにいるんだから」と笑みを浮かべ答えた。彼らの戦いは、いつまで続くことになるのか。
取材・文/横田徹(報道カメラマン)
※週刊ポスト2022年6月10・17日号