5月31日からのソフトバンク3連戦で、巨人は1、2戦目を落としたものの、3戦目はエース・菅野智之が8回0封、最後は新人クローザーの大勢が3人で抑えて完封リレーで勝利した。日本一を目指す巨人にとってソフトバンクは“天敵”ともいえる存在だが、この1勝で苦手意識は払拭されるのか。
「日本シリーズで2019年から2年連続4タテを食らった残像はまだ消えていないと思います。特に4番・岡本和真はホークスアレルギーを払拭できていない印象です。昨年の交流戦で決勝ホームランを放ち、吹っ切れたかと思ったのですが」(プロ野球担当記者・以下同)
データを見ても、岡本はソフトバンクを苦手としている。2019年の日本シリーズで16打数3安打と不振に陥った。2020年の第1戦では千賀滉大の内角速球にバットをへし折られ、どん詰まりのキャッチャーフライに。4試合で13打数1安打と2年連続で振るわなかった。昨年の交流戦は11打数3安打だったが、今年は10打数2安打に留まった。その2安打も第2戦、第3戦のランナーのいない場面だった。第3戦の5回裏1死一、三塁のチャンスでは強烈なライナーを放ったが、サード・牧原大成の攻守に阻まれた。
「ホークスは初戦、チャンスで岡本に回ると敬遠気味の四球、申告敬遠と2度も歩かせた。岡本を“眠らせておく”ために勝負を避けたとも言えます。もし打たれれば第2、第3戦と乗ってくる。キッカケを作らせない戦法を取ったと思います。ポストシーズンまで見越して、苦手意識を植え付けようとしていたのかもしれません」
今季、首位打者争いをしている吉川尚輝もこの3連戦で、2年前の日本シリーズと同じ10打数1安打という成績に終わった。ソフトバンクとのシリーズ経験者が金縛りにあったように打棒が影を潜める中、8連敗の日本シリーズで計28打数3安打と絶不調だった丸佳浩はマルチ安打2試合、2本塁打と活躍した。
「巨人にとって、これは大きかったですね。もし今年、日本シリーズで対戦することになっても岡本、吉川、丸の主軸は外せない。そのうちの1人が嫌なイメージを拭えたのは好材料でしょう」