実際、シンガポールの研究者が7〜14才の子供106人に行った研究では、マスクの着用で吸気と呼気の二酸化炭素濃度が上昇することを実証した。その結果を受けて、マスク論文はこう指摘する。
《小児における呼吸生理学の障害は、長期的に疾患と関連した結果をもたらす可能性がある。わずかな二酸化炭素レベルの上昇は、心拍数、血圧、頭痛、疲労、集中力障害を増加させることが知られる》
マスクが子供の心や精神に与える影響も心配される。ドイツのヴィッテン・ヘァデッケ大学が約2万5000人の子供や青年を対象に、保護者が回答する形式でマスクと心身の変化に関するアンケートを実施した。その結果、頭痛(53.3%)、集中力の低下(49.5%)、不快感(42.1%)、学習障害(38.0%)、眠気・倦怠感(36.5%)などが報告された。
精神面でも、以前と比べてイライラするようになった(60.4%)、快活さが減った(49.3%)、園や学校への登校意欲が減少した(44.0%)という結果が出ている。観察された子供のうち4人に1人が新たに不安を感じるようになり、悪夢を見るようになった子供もいた。
カナダ・アルバータ大学の調査では、マスクとフェイスシールドがともに、46%の子供に恐怖心を引き起こしたとの結果も。確かに、マスクが私たちの健康を守ってくれたことは間違いない。しかし、この先、警戒すべきは新型コロナだけではない。
「特に免役機能が未成熟な子供ほど『無菌生活』が続いたことで、新型コロナ以外のウイルスに対する抵抗性が弱まった可能性があり、この先はインフルエンザやアデノウイルスに対する警戒が欠かせません。人類が数年間にわたって常時マスクを使用した過去はなく、今後、どのような負の影響が生じるかを注視する必要があります」(一石さん)
新型コロナとの闘いが小休止しても感染症との闘いは終わらない。マスクを過信することなく、科学的な知見に基づいた対策が求められる。
※女性セブン2022年6月16日号