芸能

テレ東の新たな飯テロ戦略 お取り寄せグルメドラマを立て続けに放送する狙い

『先生のおとりよせ』

テレ東の新しい飯テロドラマ『先生のおとりよせ』(公式HPより)

 テレビ東京が新たな“飯テロ”を仕掛けている。それは「お取り寄せ」をテーマにしたグルメドラマだ。さらにテレ東は休日にグルメ番組を集中させている。その狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
「グルメ」がテーマのドラマと言えば、テレビ東京のイメージがある人は多いでしょう。『孤独のグルメ』を筆頭に多くの作品を手がけ、「飯テロ」というフレーズを浸透させ、6月1日にも新作の渋川清彦さん主演ドラマ『ザ・タクシー飯店』がスタートしました。

 現在も多くのグルメドラマが放送されている中、業界内で密かに注目を集めているのが、4月からテレビ東京で放送されている2本のお取り寄せドラマ。土曜0時52分~(金曜深夜)の向井理さん主演ドラマ『先生のおとりよせ』と、日曜11時~の大竹一樹さん主演ドラマ『よだれもん家族』は、どちらもお取り寄せがテーマであり、土日の“AM”で連日放送されています。

 他局でテーマがかぶったり、その上で放送日が近くなったりするケースはまれに見られますが、今回のような「同じテーマのドラマを同じテレビ局が連日放送する」のは異例中の異例。テレビ東京にはどんな狙いがあり、両作にはどんな違いがあるのでしょうか。

「グルメとドラマ」はテレ東の必殺技

 まず注目すべきは、テレビ東京が今春の番組改編に「テレ東の必殺技 アニメ・グルメ・ドラマ多メ」というテーマを掲げていること。自ら“必殺技”とする3つのうち2つに絡むグルメドラマに力を入れているのは間違いありません。実際、今春は『先生のおとりよせ』『よだれもん家族』に加えて、『しろめし修行僧』『ワカコ酒 Season6』『ザ・タクシー飯店』の5作が放送されています。

 そのうち『ワカコ酒』『ザ・タクシー飯店』は飲食店をめぐる直球のグルメドラマ。『しろめし修行僧』は「白飯に合うおかずを求めて全国を旅する」という変化球ながらも、「食を求めて外出する」というコンセプトは同じです。

 しかし、『先生のおとりよせ』と『よだれもん家族』は、「家にグルメを届けてもらう」という真逆のコンセプト。「コロナ禍以降の消費者傾向を踏まえつつ、グルメドラマの幅を広げよう」という意図がうかがえます。

 次にその「グルメドラマの幅を広げる」という意味で注目したいのが、両作の放送時間帯。『先生のおとりよせ』は休日のはじまる金曜深夜、『よだれもん家族』は休日まっただ中の日曜昼前と、まったく別の時間帯に放送されています。

 金曜深夜は「本当は食べないほうがいい真夜中に視聴者の食欲を沸き立たせる」という“飯テロ”の王道であり、これまでの放送実績もあるドラマ枠。一方、日曜昼前は「昼食に向けて食欲を沸き立たせる」という新たな狙いによるものであり、今春に新設されたドラマ枠であることがその裏付けとなっています。

 しかも「お取り寄せ」は、実店舗に行くタイプのグルメドラマよりも実現性が圧倒的に高く、「もし自分もお取り寄せして食べたら」とイメージしやすいのが強み。「金曜深夜と日曜昼前では視聴者層がかぶりにくい」「2日連続で見ても問題ないほどお取り寄せの種類は幅広い」などの背景もあり、連日放送して視聴者を食い合うなどの問題はなさそうです。

関連記事

トピックス

10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン