マッチングアプリでの出会いは、若者にとって珍しいものではなくなった。一方、中高年では、まだまだ抵抗感を感じる人も少なくないだろう。とはいえ、さまざまな事情からマッチングアプリに飛び込んだ人もいる。アプリで繰り広げられる中高年の恋愛模様とはいかなるものなのか。40~50代女性のリアルケースを見えてくるものとは──。
「毎日、忙しく子供たちと接していたせいか、“自分も結婚して子供が欲しい”という気持ちが起こらなかったんですよね」
とは、東京都在住の保育士・里子さん(47才・仮名)だ。心境に変化があったのは45才のとき。両親が他界し、一人っ子の里子さんは「天涯孤独」になった。
「本当に気の迷いだったんです(笑い)。友人にすすめられるまま『ペアーズ』に登録。プロフィール名はニックネームにし、顔写真もスタンプで隠して載せましたが、実年齢だけは正直に公開しました。“46才の私となんて誰もマッチングしないだろう”と思っていたのですが、登録した途端、通知が鳴りやまないくらい『いいね!』が来ました」
とはいえ、情報が多すぎて選べない。そこで、表示される男性を「50代以上」に設定。すると通知数が減り、プロフィールを吟味できるように。
「その中で出会ったのが彼(54才)です。写真は誠実そうで、メッセージの内容にも思いやりを感じられたのですが、LINEのQRコードが送られてきたときは不安に……。名前からFacebookを探し、実在するとわかったので、やり取りを続けることに。相手を調べることは大切だと思います」
その後、共通の趣味がゴルフであることがわかり、とんとん拍子で交際に発展。彼は男性ばかりの職場で出会いがないまま50代になったのだという。
「いまは、私は東京、彼は栃木で遠距離恋愛中。金曜日の夜はゴルフバッグを車に積んで彼の家に行きます。ふたりでゴルフをしたり、ワインを飲んだりして楽しい関係を築いています」
今後のことは彼が定年退職したら考える予定だという。
結婚するなら互いの結婚願望をまず確認
夫からのDVとモラハラが原因で離婚した大阪府在住の会社員・恵美子さん(50才・仮名)。息子が中学生になり、手が離れたのを機に再婚しようと、3年前、結婚相談所に行ったところ、初期費用が20万円以上かかるとわかり断念したという。
「同僚から『マリッシュ』をすすめられ、どうせ無料だしとダメもとで登録。マッチングアプリなんて若い子のためのものだと思っていたら40~50代ばかりでびっくりしました」
そのうち、結婚願望が強く、シングルマザーに理解がある男性数人とメッセージのやり取りを始めたという。
「私の意見を頭ごなしに否定する人、自分のことばかり書いて送ってくる人、LINEをすぐに聞いてくる人は即ブロックしました。この消去法で残ったのがいまの夫(57才)です」
初対面は昼間の喫茶店で。恵美子さんに結婚願望があること、息子がいることなどを話してその日はお開きに。その後も月に1回程度、食事をするうちに、どんどん惹かれて、半年後には息子にも会わせたという。
「息子も一緒にゲームをしたりしてなついてくれて、“あのおじさんと結婚していいよ”って。それで、去年入籍しました。夫は前の奥さまと死別していて、自分に子供がいないせいか、息子をわが子のようにかわいがってくれます」