松本まりかといえば、ドラマ『ホリデイラブ』で、浮気した自分に「バカ女」「ズタボロになって思い知れ」などと罵声を浴びせる夫をしれっとした顔で恐怖に陥れる妻や、『竜の道』で気持ちいいほど高飛車なお嬢様など、シリアスなドラマでクセの強い役を数々演じ、着々と存在感を増してきた。『最高のオバハン 中島ハルコ』では、東京で人気美容クリニックを経営し、セレブや政財界からも一目置かれる中島ハルコ(大地真央)のゴージャスなライフスタイルや金銭感覚、人生哲学などに驚かされる38歳独身の編集兼フードライター役で、「珍しく怖くない役だ…」とそこに驚いたほどだった。
あの『情熱大陸』でも追いかけられ、「怪演女優」とも呼ばれてきたが、「それもうれしい」「嫌な役でも一周回って好きになってもらえれば」などと語ってきた。真冬、華奢な体中に20個のカイロを貼り付けてロケに臨む姿には、さまざまな現場を経験したんだろうなあと感じさせる、頼もしさがあった。可愛らしさも怖さも思うままに出せる。松本まりかは、ハジけたコメディには欠かせない、頼りになる俳優に“化けた”のである。