参院選挙(6月22日公示、7月10日投開票見込み)に向けて各候補が動き出した。近年にない大激戦が予想される東京選挙区(定数6)の“台風の目”になっているのが自民党から出馬する元おニャン子クラブの生稲晃子氏だ。
出身地の東京・小金井市で開いた「励ます会」(6月3日)にはおニャン子時代のメンバーだった演歌歌手・城之内早苗ら強力な“応援団”の存在を見せつけ、連日、都内で街頭に立つ。
さる6月5日の午前9時半には、池袋駅の西口に立った。
「女性が働きやすい環境づくり」を公約に掲げる彼女が演説で切りだしたのは意外にも拉致問題だった。
芸能界にいた頃、北朝鮮を訪問した際にパスポートを取り上げられた時の不安に触れながら、
「家を出ていった子供が夕方になっても帰ってこない、どこに行ったか分からない。それが北朝鮮の拉致だったら、考えただけでも恐ろしい。それは許されるものではありません」
と訴えた。
実は、この日は自民党青年局が「拉致問題を絶対に風化させない」全国一斉街頭演説を展開し、生稲氏も参加したのだ。
日曜の朝、まだ大型店舗が開いていない時間帯とあって周囲には人はまばら。生稲氏は演説が終わると駆け寄ってきた2~3人と握手を交わして急いで車に乗り込んだ。池袋の後、八王子、武蔵小金井、府中、立川など6か所で街頭演説するハードスケジュールだった。自民党都連幹部はこう太鼓判を押す。
「生稲は演説が聞きやすいね。今井絵理子よりうまい。政府の働き方改革実現会議の有識者委員を務めただけあって、考え方もしっかりしている。ひょっとすると前回参院選で丸川珠代が獲得した114万票を超えるのではないか」
一方、生稲人気が高まるほど、苦戦を強いられるのがもう一人の自民党候補で元ビーチバレー選手の朝日健太郎氏だ。前々回の2016年参院選で初当選し、2期目に挑む。
自民党内では、生稲氏を最大派閥の安倍派が応援し、朝日氏を二階派や石破派、菅グループが応援している。朝日氏の選対関係者は危機感いっぱいだ。
「生稲さんに票を食われて非常に厳しい情勢です。『自民党の朝日をよろしく』と訴えてはいるが、なにせ自民党支持者には朝日新聞嫌いが多いからどこまで響いているのか掴みにくい」
というボヤキまで聞かれる。