折り返し地点を迎えるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。今後、平家を滅ぼし鎌倉幕府を開いた源頼朝(大泉洋)が退場すると、物語は幕府内部での権力闘争へと移る。史実に詳しい東大教授が、13人に待ち受ける熾烈な政争を解説する。
勢力拮抗の3グループ
タイトルコールに向け、着々と物語が進んでいる。第22回(6月5日放送回)では暗躍していた後白河法皇(西田敏行)が崩御し、源頼朝が征夷大将軍に就任。主人公・北条義時(小栗旬)の妻・八重(新垣結衣)が事故死したばかりで、入れ替わるように新たな妻候補の比奈(堀田真由)が登場した。
脚本の三谷幸喜氏が「頼朝が生きている時代はプロローグ」と話していたように、史実ではこの後頼朝が死に、いよいよ義時を中心に血みどろの権力闘争が始まる。嫡男の源頼家(金子大地)が将軍に就き、題名通り「鎌倉殿の13人」による合議制が発足するのだ。
今後、合議制メンバーによる知略・謀略行き交う暗闘が繰り広げられることになるが、歴史学者で東京大学史料編纂所教授である本郷和人氏は、「史実に基づいた『構造』を知ることで、作品への理解も深まります」と説明する。
「幕府のトップを狙う『13人』の御家人たちの権力闘争は、各々が『頼家を擁護する立場』『頼家の力を削ぐ立場』『中立の立場』のどれに位置するかを知れば、グンとわかりやすくなる」
頼家を擁護する『源頼家グループ』の中心人物は、頼家の義理の父である比企能員(佐藤二朗)。次いで『頼家の第一の家来』とも称されていた梶原景時(中村獅童)ら4人の名前が挙がる。
「合議制が力を持つと頼家が権力を失い、それが自らの地位低下につながってしまう。合議制を組みたくないと考えている人たちです」(本郷氏)
一方、合議制を組むことで頼家の権力を削ぎたいと考えていたのが、北条時政(坂東彌十郎)・義時親子が属する『北条家グループ』。三浦義澄(佐藤B作)や和田義盛(横田栄司)ら、5人が該当する。