午前10時、都内企業を回って廃棄予定の食品を集めた2トントラックが店舗に到着。荷下ろしを済ませたら、仕分けと値付けの作業が始まる。ずらっと並べられた折り畳みコンテナを見るだけで、「この量が廃棄予定だったのか……」と絶句。
この日、乳製品や加工食品を含むものの、そのほとんどは葉物を中心とする野菜。
コンテナはそれぞれ結構な重量だが、女性スタッフ3人がそれぞれ「よいしょっ」と持ち上げながら食材ごとに仕分け、棚に陳列し、値札をつける作業に取りかかる。13時の開店に向けて、時間との闘いだ。タイムキーパー役のスタッフが「いま12時です!」と伝えると、ますます作業はスピードアップ。
作業中のスタッフに陳列の工夫を尋ねると「それがないんです!(笑い)」と即答。
「強いて言うなら、賞味期限の順に並べないで、ドサっと並べてと言われています。その方が、宝探しみたいなワクワク感があるって。つい、おばあちゃんが見やすいようにきれいに並べたくなっちゃうんですけど」(スタッフ・小川理絵さん)
驚くべきはその値段。パン各種2個で100円、白菜1/4株60円、バナナ3本50円、実山椒(約200g)が100円……そのほとんどは、近隣のスーパーと比較しても半値以下。しかも、廃棄予定食品といっても賞味期限間近の商品だけでなく、過剰在庫や箱潰れ、規格外、誤発注が含まれるためか、想像以上にフレッシュな食品が多い印象。山積みになった小松菜も、葉は青々としていて茎はピンピン!
「今日は小松菜がめちゃくちゃたくさん入ってきたから、ニコニコセールにしよう」
代表の鶴の一声で、小松菜はもともと安かった1袋70円から2袋で70円という破格の値段になった。
大量生産&大量消費のど真ん中からの気づき
「その日によって入荷の種類も量も違うのがうちの特徴。全然品揃えがないこともありますよ。少ないときはお客さんも買わずにすぐ帰ってしまいます。かといって品揃えが豊富ということは、それだけ食品ロスの可能性が高い。売り上げが多いことはビジネスとしてはうれしいことだけど、そうやって喜ぶことにも当初は複雑な感情が湧きました。でもいまは、こうしてたくさん売った分、食品ロス削減ができているんだとプラスに考えるようになりました」