日本公開10日で興行収入28.8億円を突破し、世界興行収入は5億5720万ドル(約700億円)を超えた『トップガン マーヴェリック』。主演を務めるトム・クルーズ(59)は、1986年公開の前作『トップガン』ではアメリカ海軍戦闘機兵器学校(通称・トップガン)で飛行訓練を受ける破天荒なパイロット役だったが、今回は“某国の核関連施設を破壊する”という任務のため若きパイロットたちを育てる教官として登場する。
オープニングから、往年のファンを喜ばせる演出がいたるところにちりばめられ、劇場では思わず「おお!」と声を上げたり、拍手を送ったりする観客の姿が。ただ、鑑賞後のファンからは「覆面姿の兵士ばかりの敵国は一体どこの国なの?」という疑問の声も聞こえてきた。
スペシャリストの見解を聞いてみた。軍事ジャーナリストの竹内修氏はこう答える。
「この映画が具体的な敵国を設定しているとは思えませんが、あえて大真面目に分析すると、ひとつの国に絞ることができます。おそらくイランでしょう。
まず、敵国にウラン濃縮施設があり、それをアメリカが脅威と捉えていることが理由のひとつに挙げられます。しかしこれだけだと、複数国あり、イランに絞ることはできません。
ここからはネタバレになってしまうのですが……もうひとつの理由は、敵地に“トムキャット”の愛称で知られる艦上戦闘機F-14があるからです。現在F-14を持っている国は全世界でイランだけなんです」
現実世界でもIAEA理事会でイラン核問題が取り上げられているが、今回の設定には政治的意図があったわけではなく、もっと別の理由があると竹内氏はみる。