参院選挙(6月22日公示、7月10日投開票見込み)に向けて各地でボルテージが上がっている。西日本で最大の激戦区が京都だ。
これまで議席を分け合ってきた自民、立憲ともに足元に火種を抱え、正念場だ。
自民は二之湯智・防災相が今期で引退し、新人の吉井章・京都市議が出馬する。だが、折しも、自民党京都府連が国政選挙のたびに候補者から資金を集め、府議や市議に分配するやり方で組織的な公選法違反逃れの「マネーロンダリング」を行なっていた疑惑が発覚、国会で追及され、弁護士などが二之湯氏、吉井氏らを公選法違反(買収)で検察に刑事告発した。まさにスキャンダルのさなかにある。政治ジャーナリスト・野上忠興氏はこう見ている。
「参院の候補は自前の組織を持っていないから、選挙は地元の代議士や地方議員頼みになる。そのとりまとめ役の府連組織が政治資金問題で動きにくい。自民は全国的には優勢だが、京都では票を大きく減らす可能性が高い」
一方、立憲の福山哲郎・前幹事長も大きな“後ろ盾”を失った。旧民主党時代からの盟友で、福山氏の選挙を支えてきた前原誠司・国民民主党代表代行が今回は維新の新人・楠井祐子氏の支援を表明したからだ。
「福山さんの得票には前原票がかなりあった。昨年の総選挙敗北で幹事長を辞任し、ただでさえ勢いが落ちて票を減らすとみられているのに、7万とされる前原票の多くが維新に流れたらピンチになる」(立憲の選対関係者)
自民、立憲の弱体化をチャンスとみて維新と共産新人の武山彩子氏が激しく追い上げ、4人が横一線で並んでいる。
「京都は共産党も固い地盤を持ち、前回参院選では議席を得ている。自民の吉井氏、立憲の福山氏がともに大きく票を減らせば、維新の楠井氏か、共産の武山氏の女性候補のどちらかが勝ち残る可能性がある」(野上氏)
京都選挙区の結果はその後の政局にも影響しかねない。立憲の泉健太代表は福山氏の元秘書でもある。自分の選挙区の京都で前幹事長の福山氏が落選する事態になれば、敗戦責任を問われて代表辞任に追い込まれるとの見方がある。
※週刊ポスト2022年6月24日号
【訂正】 各選挙区予測の図において、政治ジャーナリスト・野上忠興氏は富山選挙区について自民党と予測していましたが、誤って立憲民主党と掲載していたため、訂正しました。