7月10日に投開票が行われる見込みの参院選挙(6月22日公示)。岡山では自公の選挙協力が“破綻”する異常事態が起きている。
きっかけは自民のマドンナ議員・小野田紀美氏のツイートだ。母は日本人、父はアメリカ人で学生時代はモデル経験もあるという。
小野田氏は今年1月に公明が自民候補への推薦見送りを検討していることが報じられるとツイッターでこうつぶやいた。
〈政党が違うのですから、選挙は他党の推薦ありきでやるのではなく、それぞれ自由にやるのが自然ですよね。公明党さんの推薦見送り検討、共感します。お互いそれぞれ頑張りましょう!ってやつですね!〉
これが「公明票はいらない」宣言と受け止められたのだ。
岡山は小野田氏と無所属新人の黒田晋・元玉野市長(国民と立憲が推薦)との事実上の一騎打ちだが、自公の協力があれば小野田氏の当選は堅いとみられていた。
しかし、情勢は一変しつつある。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。
「小野田氏は公明と支持母体の創価学会を怒らせた。6年前の参院選では小野田氏を推薦したが、今回は公明党県本部は自主投票の方針を決めた。つまり応援しないということです。岡山で公明の基礎票は10万票といわれ、昨年の総選挙では比例で12万票を獲得している。“うちの票がなくても当選できるつもりならやってみろ”と公明支持者の票が対立候補の黒田氏に流れれば2倍の効果があるので大逆転の可能性が出てくる」
公明票の実力が問われる選挙区でもある。
愛知では高見知佳氏が自民現職に挑む
愛媛選挙区では、『くちびるヌード』のヒット曲で知られる往年のアイドル歌手・高見知佳氏が出馬、自民現職の山本順三氏と戦う。
高見氏は出馬を決めると毎朝街頭に立ち、精力的に県内を回って全市町村を踏破した。
「みなさんの介護保険料、上がりましたよね。自己負担1割から2割に。でも、考えたら年金は下がってますよね。物価も上がっている。なのに、自己負担額が上がる。誰が決めてるの?」
軽妙な語り口だ。立憲の推薦に加えて、共産も「高見氏を自主的に支援する」と発表した。しかし、野上氏は形勢は大きく変わってはいないと指摘する。
「愛媛には永江氏の後援会組織があり、高見氏もそのネットワークを使って運動しているが、まだ有権者に浸透しているとはいえない。自民ベテランの壁を崩すのは容易ではなさそうです」
これまで見てきた選挙区のほかにも、大分(定数1)は自民新人と国民の現職が互角の形勢。
北海道(定数3)は自民と立憲が候補者を2人ずつ擁立し、事実上、4人で3議席を争う戦いになる。
「北海道は立憲が2議席確保の見通し。自民現職で安倍派の長谷川岳氏と麻生派の船橋利実・元代議士が、残る議席を奪い合うという派閥対決の構図だが、長谷川氏が優勢だ」
と野上氏は分析する。
※週刊ポスト2022年6月24日号
【訂正】 各選挙区予測の図において、政治ジャーナリスト・野上忠興氏は富山選挙区について自民党と予測していましたが、誤って立憲民主党と掲載していたため、訂正しました。