芸能

『じぞ恋』も『のだめ』も 上野樹里演じる“半歩先を行く”女性像が共感を呼ぶ理由

演じる役柄はいつも時代の半歩先を行く(Imaginechina/時事通信フォト)

時代の半歩先を行く女性像を演じることが多い(Imaginechina/時事通信フォト)

 父と娘のダブル婚活模様を描いて話題の、『持続可能な恋ですか』(TBS系、火曜夜10時〜)。主演は上野樹里で、父役の松重豊との掛け合いが小気味良いと話題だ。ドラマオタクのエッセイスト・小林久乃氏は、今回の役をはじめとする、上野樹里が演じてきた「女性像」に注目する。

 * * *
 クライマックスの展開が一体どうなるかとモヤモヤとしてしまう『持続可能な恋ですか(以下、じぞ恋)』。主人公の沢田杏花(上野樹里)は、東村晴太(田中圭)に振られてしまったけれど、ラストはくっ付くのだろうか。私なら一にも二にも不破颯(磯村勇斗)に転んでおくのだが……などと観ながら思っている。

 このドラマ、スタート時はグッとくるものがなかった。恋愛モノのはずなのに、父親との関係性も絡んでくる。でも映像の雰囲気はすごくいいし、ロケ地は可愛い印象だし、と、ストーリー以外のことに注目しながら見ていると、次第にハマり出す。まただ。これは、上野樹里さんが主演するドラマでいつも感じる、おもしろ現象なのだ。

演じる役がいつも“トレンド前夜”

 なぜ上野さんの演技には、最終的に「うんうん」と引き込まれて、泣いてしまうパターンさえあるのか。ドラマオタクなりに話題となった(筆者趣向による)主演作をざっくりと振り返ると、いくつかの共通点があると気づいた。まずは厳選した4作について書いていこう。

 2006年に放送されて、彼女の代表作になった『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)で演じた野田恵役。いわゆる音楽の天才で“天然キャラ”だった。放送当時は、私が女性誌でバリバリ制作をしていた時期。情報が次から次へと目の前を流れていくなかで、天然キャラの女性がモテ要素として注目されていた記憶がある。

 グイグイと女性らしさをアピールするよりは、ポワーンとしているほうがモテる。上野さんが演じていた、のだめがまさにそれではないだろうか。ドラマを見た当初は疑問しかなかったのに、最終的には天然キャラに憧れを抱いていた。私には無理だったけど。

 2008年放送の『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)で演じた、岸本瑠可役は衝撃的だった。出生時に割り当てられた性別と性自認が異なるという難しい役どころ。まだ社会的な認知が十分ではなかったと思われる時期に、挑んだ。ベリーショートヘアもよく似合っていた。それ以降は、あらゆる現場でカミングアウトが行われたこともあり、社会の側の理解が進んで、現在の日本社会に至る。

関連キーワード

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン