芸能

坂本龍一、がんステージIVでも消えぬ情熱 『戦メリ』に苦しめられた過去からの解放

(時事通信フォト)

がん闘病中の坂本龍一(時事通信フォト)

「音楽の父」と称されるドイツの偉大な音楽家バッハ。彼の遺作『フーガの技法』は未完のまま終わっている。制作中にこの世を去ったからだ。坂本龍一(70才)は、そのバッハのように「死の直前まで曲を作り続けたい」と強く願っている。がん闘病の最終局面に差し掛かった彼を突き動かすのは、最愛の人たちだった──。

 坂本の人生は、順風満帆にみえた。東京藝術大学大学院修了後に、スタジオミュージシャンとしてキャリアをスタート。1978年には細野晴臣(74才)、高橋幸宏(70才)とともに『イエロー・マジック・オーケストラ』(YMO)を結成し、それまでになかった新しい音楽を生み出して世界にセンセーションを巻き起こした。

 映画『戦場のメリークリスマス』(1983年公開)の音楽で世界的に評価を受け、『ラストエンペラー』(1987年公開)ではゴールデン・グローブ賞作曲賞、アカデミー賞作曲賞などを日本人として初受賞。この2本の映画には俳優としても出演し、重要な役柄を演じた。その後も国内外で音楽にまつわる賞を受賞するだけでなく、環境・平和活動にかかわるなど、音楽に留まらない存在感を示していった。そんな中、2014年に最初の病魔が襲った。中咽頭がんだった。

「坂本さんは予定していたコンサートやアルバム制作などを中止して、当時、生活の拠点を置いていたアメリカ・ニューヨークの病院で治療に専念しました。幸いにも放射線治療によってがんは寛解し、2015年8月には吉永小百合さん(77才)主演の映画『母と暮せば』(山田洋次監督)の音楽制作で復帰を果たしました。その後は、がんによくないとされる肉を食べることを完全にやめ、野菜中心の食生活を送るなど人一倍健康に気を使っていたようです」(音楽関係者)

 だが復帰から5年後の2020年6月、坂本の体に再びがんが見つかる。病院での検査を受け、直腸がんと診断されたのだ。

「5年前と同じ病院で、放射線治療と並行して抗がん剤治療を受けたようです。しかし、がんは消えてくれなかった。当時、坂本さんはがんとは別に物忘れに悩んでいて、その年の12月に帰国したときに脳の病気を疑って人間ドックを受けたんです。すると脳には異常がなかったものの、直腸がんが肝臓やリンパにまで転移していることがわかった。

 治療を受けていたニューヨークの病院では、転移していることを告げられていなかったため、病院側の“見落とし”の可能性も否定できない状況でした。坂本さんはニューヨークには戻らずに、東京で治療を受けることを決めました」(坂本の知人)

 帰国後に診てもらった病院で、坂本は衝撃的な事実を告げられた。

「何も治療をしなければ余命半年」「強い抗がん剤を用いても、5年生存率は50%」

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン