中日の立浪和義監督が根尾昂を投手登録に変更する考えを明かし、反響を呼んでいる。4年目の根尾は開幕当初は外野で起用されていたが、シーズン途中で遊撃手のレギュラーだった京田陽太が攻守に精彩を欠き二軍に降格したことで、遊撃手にコンバートされた。しかし、どちらのポジションでもレギュラーを奪うには至らず、交流戦では主に代打や守備固めで起用される日々が続いてきた。スポーツ紙デスクは立浪監督の決断に理解を示す。
「俊足と肩は一軍でも十分に通用するレベルですが、肝心の打撃は石川昂弥、鵜飼航丞、ブライト健太ら後輩の若手選手に後塵を期している。根尾もヒットが出ていないわけではないですが、一二塁間を抜いた当たりがほとんどで右中間を抜くような強い打球が見られない。このまま野手で代打や守備固めのような“便利屋”扱いが続くより、投手としての伸びしろに賭けるという立浪監督の考えは理解出来ます」
今季に投手デビューを飾った根尾は、一軍で大量得点差がついた2試合に登板している。5月21日の広島戦は1回1安打無失点の好投。5月29日の交流戦・オリックス戦では大阪桐蔭時代を含めて自己最速タイの150キロを計測。1回1安打無失点ときっちり抑えた。マウンド上では落ち着き払った表情で、走者を出しても動じない。たたずまい、投球フォーム、球質は「良い球を投げる野手」ではなく、本職の投手と見間違うほどだ。
しかし、中日番記者は立浪監督の方針について、疑問を呈する。
「投手転向させるなら、まずは徹底的に投手用の身体を作り替えてからでしょう。いまは球速こそ出ているものの、上体の動きに頼っていて、下半身を使えていない印象。だから打者から空振りを奪えない。変化球も実戦レベルはスライダーのみ。それこそ今シーズンはずっと二軍で鍛え直すくらいの覚悟が必要でしょう。
しかし、立浪監督は根尾を一軍に帯同させたまま投手として起用する方針です。現状では勝ちパターンでは起用しにくいとも明かしていたため、根尾の登板機会は敗戦処理が中心になるでしょう。根尾は代打ではそれなりに結果を残していましたが、打率0割代にもかかわらず福留孝介が優先されたため、出場機会が減っていました。根尾を丁寧に扱いたいという立浪監督の考えは理解できますが、このままだと根尾を“客寄せパンダ”にしているのではないかと見られてもおかしくありません」