アメリカ発の巨大IT企業=「GAFAM(ガーファム/グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)」。この5社の時価総額は、日本株全体の時価総額を優に超え、世界の主要国の経済規模すら凌駕している。だが、それらの巨大企業の創業者や経営陣の中には、アメリカ以外にルーツを持った才能あふれる人材が多い。経営コンサルタントの大前研一氏は、GAFAMに続く急成長企業を牽引するのも“非アメリカ”出身者であることに注目する。
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私は、21世紀の新しい経済単位として「メガリージョン」というものに着目しています。その例として、アメリカのメガリージョンを検証してみたいと思います。
まず「パシフィック・ノースウエスト」と言われるところを見ていきます。バンクーバーからシアトル、ポートランドなどを含む経済圏です(図表1参照)。
バンクーバーからシアトルまで──カスカディア経済圏
この地域は、人によっては「カスカディア」と呼びます。アメリカ西海岸には、コースタル(海岸)・マウンテン、カスケード・マウンテン、ロッキー・マウンテンと、3つの大きな山脈がありますが、その真ん中のカスケード・マウンテンに由来するのがカスカディアです。もともとこの地域には独立運動があり、実際にはそれほど過激ではありませんが、オレゴン州やワシントン州、カナダのブリティッシュ・コロンビア州などの統治から離れて、カスカディアとして独立して1つの国になろうという動きもあります。
今、この主要3都市を結ぶ高速鉄道建設計画や、バンクーバー〜シアトル間を自動運転用高速道路でつなごうという構想があります。もともとシアトルにはマイクロソフトやアマゾンの本社が置かれましたが、さらにスターバックス、コストコ、エクスペディアなど、だんだん裾野が広がっています。それ以前のシアトルは、航空・軍事メーカーのボーイングのヘッドクォーターがある都市として有名でしたが、いつの間にか同社の拠点はシカゴに移転して、現在のシアトルは完全にハイテクタウンになっています。
またポートランドは、ナイキの本社やインテルの巨大な事業所があるほか、コロンビアスポーツウェアなどもここを拠点にしています。このカスカディア地域の周辺人口は約1700万人に上ります。