──たしかに、ストレスなく調教をこなすために、必要ですね。
田中:毎日の調教でもそうなのですが、朝一で乗ったときにまず最初に考えることは「今日、この馬はどこが硬いかな」ということ。人間も朝起きたら、ちょっとこのへんが硬いなとかありますよね。それは馬も同じなんです。「ここがちょっと硬いんだな」という時は、そこのストレットをやってあげています。
──朝一番のストレッチ。それも人間と同じなんですね。
田中:そこから高度な調教に入っていきます。いきなり乗って、すぐにあれこれ何かやるのではなく、まず馬の身体のストレッチをしっかりやってあげる。苦しいところを極力省いてから調教してあげる必要があるんです。
【プロフィール】
田中光法(たなか・みつのり)/1967年生まれ、東京都出身。ラングラーランチ代表。4歳のときに家族で山梨県小淵沢に移住。NHK大河ドラマ『葵 徳川三代』『武田信玄』『真田丸』や現在放送中の『鎌倉殿の13人』まで数々の映像作品で馬術指導を担当。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2022年6月24日号