ただ、その「チーム作り」に限界を感じる声もある。昨年はシーズン終盤に大失速し、CS圏内の3位を死守するのが精一杯だった。今季も春先は快調で一時は貯金を最大11まで増やしたが、中継ぎ陣が疲弊して打ち込まれるケースが目立つようになった。リーグワーストの45失策と守備に綻びも目立ち、貯金を4まで減らしている。スポーツ紙デスクはこう語る。
「原監督はチームの編成権も掌握しているので、今までは他球団の主力を引き抜いて大きなプラスアルファにしていたが、そのやり方が通用しなくなっている。実際にFAで獲得した梶谷隆幸、井納翔一はまったく稼働せず、昨季途中に電撃トレードで獲得した中田翔も精彩を欠いている。現有戦力で最大限の力を引き出すために、ウォーカー、ポランコを外野の両翼に置いた打力重視の布陣で戦っていますが拙守が目立ち、野球に緻密さがなくなっている。この野球を続けているようだったら、優勝争いどころかBクラスに転落しても不思議ではありません」
後継者となる次期監督も気になるところだが、どうなのだろうか。
「阿部慎之助作戦兼ディフェンスコーチが最有力候補ですが、昨オフに原監督が3年の長期契約を結んだという現実から、まだまだトップに立つのは早いというのが球団内の評価なのでしょう。桑田真澄投手チーフコーチは卓越した野球理論に加え、コミュニケーション能力も高いので投手陣の人望は厚いですが、今年は継投策などで手腕を疑問視する声が上がっている。ファンから待望論が強いのは高橋由伸前監督のカムバックです。2016年からの監督就任3年間でリーグ優勝が一度もなく退任しましたが、就任前には現役続行の意向を示していたにもかかわらず、急遽原監督の後を託されてかわいそうな部分もあった。現状、再登板の可能性は低いと思われますが……。どちらにせよ原監督の長期政権はしばらく続くでしょう」(同前)
FAやトレードによる外部補強でチームを強くする時代は終焉を迎えつつある。名将はどうチームを立て直すか。