前理事長の逮捕で揺れた日本大学。新しい理事長に就任するのは、作家の林真理子さんだ。女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さんが、「拝啓 林真理子様」と思いを綴った。
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拝啓 林真理子様
このたび日本大学の次期理事長にご就任されますこと、心からお喜び申し上げます。
林さんが母校の理事長になられるというニュースは、コロナ禍でくすぶっていた世の中にどれほどの風穴を開けたことでしょう。連日のニュースがそのことを告げているように感じたのは私だけではないはずです。
正直申し上げて、日本一の学生数7万人超を誇る大学の理事長になられるということがどういうことか、農業高校卒の私には想像もつきません。ですが、とてつもない大きな椅子にお座りになることは想像に難くなく、多少のご縁をいただいた私はとても興奮しております。
私だけではありません。たぶん、林さんと同世代の働く女性と、雑誌全盛時代を生きてきた多くの女性ライターは心の中で「万歳!」と叫んだはずです。
思えば林さんが『ルンルンを買っておうちに帰ろう』で衝撃のデビューをされた1982年、あの頃は「80年代、女の時代」というスローガンが、男性週刊誌で取材記者をしていた私の耳にも届いていました。
が、現実は男社会そのもの。かけ出しの私は編集部で「ヒロコ」と呼び捨てにされていました。
「おお、ヒロコ、これから取材?」とベテランライターや編集担当者から声をかけられても違和感を持たないどころか、うれしかったくらい。たばこくさい編集部に打ち合わせに行くと、男、男、男で「なんだ姉ちゃん、何しに来た?」という視線で見られ、居心地のいいものではありませんでした。
でも、それもこれも40年も昔のこと。林さんはあるときはテレビ局のイメージキャラクターになり、正統派の直木賞作家になって、そのお名前は常にメディアの中心に君臨していました。それがどれほどのことか、横に並ぶ人が一人もいないというだけでも推して知るべしです。