「国民病」とも呼ばれるがんの発生と遺伝の相関関係は、世界中で長年の研究課題とされている。よく“がん家系”という言葉を耳にするが、もちろん親族に誰もがん患者がいなくても罹患することがある──。
兄弟デュオ、ビリー・バンバンの菅原進(74)は2014年、タレントのせんだみつおに誘われて行った大腸の内視鏡検査で盲腸がんが発覚した。菅原が語る。
「検査後、入院当日の午前中までレコーディングをして、とても丁寧に歌えた手応えを感じていました。入院への不安はありましたが、もう先生に任せるしかない、と。この病気になったことと関係があるかどうかはわからないけれど、思い返せば、何かあるとお腹が緩くなったり腸が弱い体質だったのかなと思います。
親も兄弟もがんは誰もいません。ただ僕の盲腸がんの手術の2か月後に兄の孝が脳出血で倒れたことで、僕ら親子、兄弟は高血圧が共通していたと気が付きました。孝だけでなく、僕も親父も血圧は高く、遺伝とも生活習慣とも取れるそうですが、家族内でそのような影響もあったかもしれない。今も月1回の血液検査、年1回の内視鏡検査は欠かしていません」
58歳の時に十二指腸がんを患い手術を受けたタレントの清水国明(71)も家族で“自分だけ”が患者となった。清水は「僕のがんは生活習慣が原因だと思う」と振り返る。
「僕のがんの原因は暴飲暴食とストレスだったと思う。僕は脂身の肉が大好きで、500gはぺろりと食べちゃうんだけど、魚釣りやログハウス作りに夢中の時は空腹になることすらムカつくほどで、3食抜いて翌日にどかっとステーキを食べるなんてことをよくしていたんです。あと当時はビジネス関係ですごくストレスがかかっていた」
そんな清水の両親は、90歳を過ぎて亡くなるまで、がんはおろか、病気ひとつしない丈夫な体の持ち主だったという。
「父は高熱が出ても腹痛止めの薬を飲めば熱が引くくらい頑丈な男でした。母も90歳まで元気で、2人して『私が先に逝きますから』『いや俺が』なんて言い合っていました。そんな僕としては、がんに遺伝があるならば、強い体の遺伝もあるはずだ、と。4番目の妻との間に生まれた子供が3歳で、まさかの孫より小さい子供がいるんです。僕の子供や孫にもまた、強い体が引き継がれていることと信じています」
がんになった当事者たちは、それぞれが深く考え、家族に思いを馳せていた。
※週刊ポスト2022年7月1日号