7月場所の番付発表を5日後に控えた6月22日、元小結で38歳という現役最年長関取の松鳳山が引退届を提出。日本相撲協会は受理したと発表し、6月28日に本人の会見が行なわれる予定だ。長く人気力士として活躍した松鳳山だが、引退後は協会に残らない道を選んだ。その背景には、複雑な事情が見え隠れする。
今回の引退表明について、相撲担当記者はこう話す。
「先の5月場所は東十両12枚目だったが、8日目から連敗が止まらず11日目に負け越しが決まった。3勝12敗となり、次の7月場所は2011年5月場所以来の幕下陥落が濃厚になっていた。年齢的に幕下からの復帰が厳しいとの判断だが、引退後は協会には残らないという」
力士が引退後に親方として相撲協会に残るためには、105ある「年寄名跡」のいずれかを取得する必要がある。取得には日本国籍を有するとともに、最高位が小結以上、幕内在位通算20場所以上、十両以上在位通算30場所以上のいずれかの条件を満たさなくてはならない。
つまり、幕内通算在位51場所の松鳳山には、襲名の資格がある。序二段で1回、幕下で2回、十両で1回の優勝経験があり、殊勲賞を1回、敢闘賞は3回受賞している。金星も5個獲得し、突き押しの激しい相撲で人気を集めた。通算成績は582勝605敗22休。知名度や実績は十分だ。しかし、松鳳山は退職の道を選んだ。
「駒大相撲部から若嶋津(元大関)が興した松ケ根部屋(当時。現・放駒部屋)に入門した。前相撲からスタートし、初土俵から25場所で十両に昇進すると、関取の座を11年間(幕内通算51場所、十両通算17場所)守った。部屋で初の三役力士となるなど、看板力士として活躍したが、年寄名跡取得のメドが立たなかった」(前出・相撲担当記者)