「事実上の現役続行宣言とみていいでしょう」。フィギュアスケート関係者がこう判断する根拠は、6月18日に放送されたスポーツニュース番組『S-PARK』(フジテレビ系)での羽生結弦(27才)の言葉だった。番組のインタビューを受けた羽生は、「ファンタジー・オン・アイス(FaOI)幕張公演で演技に込めたことは?」の質問に、こう答えたのだ。
「まだ4A(4回転半ジャンプ)いろいろ工夫できるなっていうのは、ちょっと思っているんですよね。やっぱり北京五輪で注射打ちながらだったからこそ、火事場の馬鹿力みたいなものが、恐怖感のないアクセルが跳べたっていう状況の中で学べたことがかなりあるんですね。
その学べたことをもっと使っていきたいなと思いますし、4Aに向けては日々挑戦していきたいなっていう気持ちは強くあります。絶対降りたいなって思ってますね、もちろん皆さんが見ている前で、降りたいなって気持ちが強くあります」
北京五輪では4Aについて「やり切った」とし、これまで幾度となく引退の可能性が報じられてきた羽生だったが、ここにきて本人の口から前向きな発言が飛び出したのだ。スポーツジャーナリストの野口美惠さんは、「進退の決断は、日々変化していると思います」とした上で、羽生の発言についてこう語る。
「4Aを降りる才能と可能性を持っている選手なので、“もう一度やってみよう”という気持ちが、北京五輪から4か月たって改めて出てきたのかな、と受け止めています。五輪はどうしても期待を背負ってしまいますが、いまは純粋に自分の理想に専念できる。『皆さんが見ている前で降りたい』という言葉に期待が高まりますね」
多くの関係者が羽生が競技を続ける覚悟を持っていると感じたのは、同番組で「究極のスケートとは何か」という問いに対し、こう答えたこともあったからだろう。
「やっぱり芸術性は大事だと思うんです。(中略)ジャンプという点に関しても、もっともっと練習して、やっぱいまの羽生結弦がいちばんうまいなって、技術的にもいまがいちばんうまいなって思ってもらえるように、常に努力し続けたいなって思います」