今夏も猛暑が日本列島を襲いそうだ。6月21日に気象庁が発表した3か月予報(7~9月)によると、梅雨明けから一気に気温が上昇し、全国的に暑さが続くという。気象予報士・森朗氏が解説する。
「猛暑をもたらす太平洋高気圧とチベット高気圧の北側への張り出しが強くなり、南から湿った空気が大量に流れ込むため、高温多湿になることが予想されます。気温に加えて湿度が高い日は熱中症のリスクが高まるので、十分な警戒が必要です」
総務省消防庁のデータによると、2010年以降、熱中症による救急搬送者(6~9月)は全国で大幅に増加した。記録的猛暑だった2018年は9万人を超え、以降も6万人以上で推移。なかでも65歳以上の人の割合が高く、2018~2021年は48~58%とこちらも増加傾向にある。
さらに注目すべきは、自宅に居ながらにして熱中症にかかるケースが多いことだ。厚労省人口動態統計(2018年)では、熱中症の死亡者のうち56.5%が「家庭」で発症している。高齢者の熱中症死亡事故は、どのような状況で起きているのか。
2020年8月には、東京・足立区に住む90代の夫と80代の妻が自宅で熱中症を発症し死亡しているのが見つかった。夫は1階の居間で、妻は台所で倒れていたが、エアコンはなく、発見時は送風機1台が作動していただけだったという。
同じ日の早朝、栃木県では70代の女性が布団の中で熱中症を発症し亡くなっているのが発見された。女性は普段から就寝前にエアコンを切っており、発見時もついていなかった。前夜は熱帯夜だった。
さらに同日未明、埼玉県で88歳の男性が木造平屋の自宅で痙攣を起こし、意識を失って病院に搬送されたが、その後死亡した。室内にエアコンはあったが、故障していて窓は閉め切ったままだったという。